YouTubeから伝説のバンド、ジャーニーのボーカルへ、奇跡のシンデレラボーイを描いた話題作とは?
伝説のロックバンド、ジャーニーのボーカルに抜てきされたフィリピン出身の歌手アーネル・ピネダを描いたドキュメンタリー作品『ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン』について、ラモーナ・S・ディアス監督、プロデューサーのジョシュア・A・グリーンとカペラ・ファフームが語った。
映画『ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン』写真ギャラリー
同作は、YouTubeに投稿されていたフィリピン出身の歌手アーネル・ピネダが歌った曲が、ロックバンド、ジャーニーのメンバーであるニール・ショーンの目に留まり、アーネルを渡米させオーディションを受けさせる。彼は見事にジャーニーのボーカルとなり、過酷なアメリカ国内のツアーに乗り出していく過程を描いたドキュメンタリー作品。
製作経緯についてラモーナ監督は「フィリピン系のアメリカ人の間で、マニラのアメリカ大使館の移民局員が、アーネル・ピネダにビザを許可した話がうわさになっていたの。なぜなら、アーネルが実際にその移民局員の前でジャーニーの曲“Wheel In the Sky”を歌ったことでビザの許可が下りたからなの。その後、彼がサンフランシスコでオーディションし、見事にジャーニーのボーカルになり、わたしたちは彼の行く道(ツアー)を追いかけることにしたの」と語った。
ラモーナ監督はシンデレラボーイ、アーネル・ピネダについて「もしこのようなシンデレラ・ストーリーがあっても、単にニュース番組のひと枠としてだけ放送される可能性もあった。ところが、わたしが実際にアーネルに会ってみて、彼がオープンで近づきやすく、自分の人生に起きたことに関しても明確であったり、その上カメラ向きであったことで、彼を題材に映画を製作すべきだと納得させられたの」と語った。
ジャーニーが行ったツアーの撮影に同行したプロデューサーのカペラは「彼らバンドメンバーが、いかに日頃から(体力的に)過酷なツアーをこなしているかわかったわ。その上、彼らは夜ごとパフォーマンスする度に、より格好良くあり続け、素晴らしい音を出し続けなければいけないの。わたしたちは、彼らを追っかけて撮影していたけれど、それだけでも体力の低下を感じていたし、睡眠不足にもなって、時間や場所までわからなくなるくらい疲労したこともあった。でも、彼らバンドメンバーはそんな大変な仕事をしっかりこなしていたわ」と驚かされたそうだ。
曲の著作権について「彼らバンドメンンバーがわたしたちの撮影を許可してくれたけれど、曲によってはバンドが著作権を所有してない曲もあって、それぞれ著作権を得るのが大変だった」とラモーナ監督は語り、さらにジャーニーの元ボーカル、スティーヴ・ペリーを含めなかったことについては「彼を描くことはまた別の映画になってしまうからなの。もし、アーネルを中心に描いた作品で、スティーヴも登場させたら、(彼の偉業に)公平だとは思えない、もし仮に彼を描くとするなら、よりバンドとスティーヴの親密な関係を描くべきと思ったから」と話した。
映画は、長年のコアなジャーニーのファンが居る中で、加入したばかりのアーネルが、いかにその歌唱力で人々を圧倒させていくかが見所になっている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)