ディズニー、伝統の手描きアニメーションから撤退 今後数年は製作予定なし
大手アニメーションスタジオのディズニーが、今後数年、手描きアニメーションによる映画作品を製作しないことが明らかになった。かつては『美女と野獣』『ライオン・キング』など手描きアニメーションの代表作ともいえる作品群を世に送り出したディズニーだが、近年はフル3DCGによる制作が主流になっており、興行成績もCGアニメの方が優れているという結果が出ている。
現時点で最後の手描きアニメーション映画『くまのプーさん』場面写真
Digital Spyによると、同社CEOを務めるボブ・アイガー氏は株主総会で「わたしの知る限り、今現在2Dや手描きアニメによる映画作品は制作されていない」と発言。テレビアニメなどではまだ手描きの手法を採用しているというものの、制作の中心が完全にCGアニメに移ったことを認めた。
『美女と野獣』『アラジン』『ライオン・キング』といった大ヒット作を生み出してきたディズニーの手描きアニメーションだが、世界初のフル3DCG長編アニメーションである『トイ・ストーリー』が発表された1995年以降は興行的に苦戦。積極的にCGアニメの制作に乗り出した近年は、『ボルト』『塔の上のラプンツェル』『シュガー・ラッシュ』といったヒット作を連発している。
その一方で、手描きアニメーションを復活させた『プリンセスと魔法のキス』『くまのプーさん』といった作品は、興行的に上記CGアニメを下回る結果に終わっており、そうしたことが今回の撤退につながったと予想される。アイガー氏は手描きアニメーションによる映画作品を今後製作する可能性を否定していないものの、ディズニーの映画作品は通常、製作に数年を費やすといわれており、少なくとも当分の間、ディズニーが手描きアニメーションによる新作映画を発表しないことは確実となっている。
現在のところ最後の手描きアニメーションによる映画『くまのプーさん』は派手さこそないものの、古き良き時代の作品を思わせる世界観が各所から絶賛されていた。それだけに、今回の決定を残念に思うファンは多いはずだ。(編集部・福田麗)