松田美由紀が『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』の御法川修監督との出会いを語る!
故・松田優作さんの妻で女優の松田美由紀が9日、『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』『SOUL RED 松田優作』の御法川修監督の劇場デビュー作『世界はときどき美しい』がテアトル新宿でリバイバル上映されることを祝福するため初日舞台あいさつに出席。御法川監督との思い出を語った。
松田のほか、息子の松田龍平、市川実日子、柄本明が出演する本作は、2007年3月に公開された、ありふれた日常の中で見過ごされがちな風景を5つの短編物語を通じて描き出したもの。それから6年後のリバイバル上映決定に松田は「なかなかないこと。とてもうれしいですね」と喜びを表現した。
御法川監督と松田の出会いは利重剛監督の傑作『エレファントソング』(1994年)の現場にさかのぼる。第45回ベルリン国際映画祭でNETPAC賞を受賞するなど、世界的評価の高い同作で御法川監督は、助監督と脚本を担当している。この撮影に入る前、御法川監督から長文の手紙を送られたという松田は「どういう思いでわたしを迎え入れるのかということと、スタッフ一同、お待ちいたしておりますということが書かれていて。こんなに熱意のある助監督は少ない」と感激したという。
それを聞いた御法川監督は「手紙! 書きましたねぇ」と懐かしそうな表情に。さらに「このとき、利重さんは4年映画を撮っていなかったんです。監督が4年も映画を撮れないということはさぞつらいことだと思い、助監督ながら利重さんに映画を撮ってほしいと思っていた。そんな作品に松田さんが出ていただけるということで、松田さんを誠心誠意お迎えしたいという思いがあの手紙を書かせたんですね。あのとき、松田さんに『日本一の助監督』と言ってもらえたことが、今でも心の自慢なんです」と笑顔を見せた。
その後、『世界はときどき美しい』で松田を迎えた御法川監督は「表現したいテーマが先にあったのではなく、どんな小さな作品でもいいから、松田さんと一緒に表現してみたいと思った作品」と振り返る。そんな本作は、黒沢清作品などで知られる芦澤明子が8ミリフィルムで撮影。温かみのある優しい映像が印象的な仕上がりとなっている。(取材・文:壬生智裕)
映画『世界はときどき美しい』は3月15日までテアトル新宿にて1週間限定上映(3月16日は『エレファントソング』が上映される特別オールナイトあり)