無名のシンガーからジャーニーのメンバーに! フィリピン人ボーカルが夢を追う人々にメッセージ!
映画『ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン』の公開を目前に控え、ちょうど公演のため東京に滞在していた同バンドのメンバー2人が取材に応えた。このドキュメンタリーの主人公にあたるシンガーのアーネル・ピネダは、初めて完成作品を観たときの印象をこう語っている。
「最初は片目をつぶってこわごわ見ていたよ。どうか自分がひどい顔で映っていませんように、と祈りながらね(笑)。だけど見終えたとき、夢を追い続けている全ての人たちに向けて“自分を信じ続ければ奇跡は起こり得る”というメッセージを送ることができたのを確信できたんだ」。
長年憧れ続けてきたバンドのフロントマンの座を、40代にして射止めるという夢物語。しかも40年に及ぶ歴史と幾多のミリオンセラーを持つアメリカン・バンドに、フィリピン人無名シンガーにしか過ぎない自分が抜てきされるという実話の展開に、誰よりも驚かされたのはアーネル自身だろう。当然ながら彼には、カメラに追い回されるような生活にも免疫がなかったが、「いつも僕の気付かないところで遠巻きに撮られていた。だからカメラの存在を意識せずに済んだし、まったく演技はしていない」という。
アーネルは、このバンドの1980年代の黄金期を象徴する看板シンガー、スティーヴ・ペリーと常に比較され続け、歴史と闘い続けてきた。その心境を誰よりもリアルに理解しているのがドラマーのディーン・カストロノヴォだ。1998年以来のメンバーである彼は「もう加入から15年もたつのに、いまだに“新メンバー”と呼ばれる」と言って笑い、「だからアーネルが感じてきたプレッシャーのすさまじさについては理解しているつもりだし、彼の日々の頑張りをチーム全体として応援してきたつもりだ」と言葉を続けた。
大柄でにぎやかなディーンと笑顔を絶やさないアーネルは、現在のバンドの成り立ちについて「3人の卓越した伝説的ミュージシャンと、2人のお笑いコンビ」などと形容。さらにアーネルは「今回の経験を通じて、また映画を撮る機会があったらすてきだなと思うようになった。ただし僕の場合、コメディーかホラーしかあり得ないだろうけど」と発言してディーンを爆笑させていた。そしてこの取材の翌日に行なわれた、ジャーニーにとって実に30年ぶりとなる日本武道館公演も、超満員の大盛況に終わっている。彼らの成功物語は、まだまだ続いているのだ。(増田勇一)
映画『ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン』は3月16日より全国公開