ボクサーしずちゃん、11か月ぶりにリングへ! 末期がんで闘病中の恩師に勝利を誓う!
お笑いコンビ・南海キャンディーズのしずちゃんこと山崎静代選手が、今月2日、デビュー戦で敗れた台湾のミドル級上位選手シュエ・チュンチューとのリベンジマッチに挑む。ボクシングの女子世界選手権以来11か月ぶりにリングに立つしずちゃんが、試合への思い、末期がんで闘病中の恩師への思いを語った。
しずちゃんがボクシングにのめりこんだのは、二人三脚で共に戦ってきた梅津正彦トレーナーとの出会いがきっかけだった。「ドラマでボクシングに挑戦したときに、指導していただいたのが梅津さんでした。それから趣味で続けていたんですが、あるとき試合に出てみないか? と誘っていただいて、それから本格的にボクシングを始めたんです」。
以来、二人の関係はお笑い芸人とボクシング指導者、という関係からトレーナーと選手という師弟関係へ。しずちゃんは「何度もやめたくなるほど、梅津さんは厳しくなりました。梅津さんに怒られすぎて、体がまったく動かなくなってしまったこともあります。オリンピック直前は、精神的にも限界寸前で憎さしかなかった」と当時を振り返る。
だが梅津トレーナーは全日本選手権の3か月前にあたる2011年11月に病気を発症。2012年1月27日には、太ももの腫瘍悪性の疑いがあると宣告を受け、1週間後の検査結果で、メラノーマという皮膚ガンの一種であることが発覚した。この病気はステージによって腫瘍の成長が早く5年後の生存率は10%、10年後の生存率は0%。現在も、抗がん剤治療や免疫療法などの治療費を自費で払っている。
病床の師匠を見たとき、厳しさに隠されていた愛情に気付かされたというしずちゃん。そんなとき、梅津さんの教え子たちが、梅津さんが生涯をささげてきた女子アマチュアボクシング大会の新設のために奔走していることを知り、「梅津さんのためにリングに立ちたい」と願い出た。
試合への意気込みを聞くと「これまでは自分のためにしか戦ってこなかったけれど、この試合は梅津さんのため。試合相手は以前負けた選手ですが、今度こそ勝って、梅津さんに笑ってもらいたい。元気になってほしいです」と真剣なまなざしで勝利を誓った。
試合に向けた練習のかたわらで、映画『あしたのジョー』の力石徹を演じた際に梅津トレーナーから指導を受けたという伊勢谷友介と共に治療費の募金活動も行った。全てを乗り越え、師匠のためにリングに立つしずちゃんを、一人でも多くの人に応援しに行ってもらいたい。(編集部・森田真帆)
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