撮影中断も…日韓共同製作ドキュメンタリー映画完成にプロデューサー万感の思い
10日、駐日本国大韓民国大使館で行われた日韓共同製作ドキュメンタリー映画『李藝 最初の朝鮮通信使』完成報告試写会で、総合プロデューサーを務めた益田祐美子が、撮影を中断したこともあったという本作の完成に万感の思いを語った。
本作は、15世紀の朝鮮王朝前期に活躍した実在の外交官、李藝が日本でたどった道のりを、人気俳優のテヨンが訪ねるドキュメンタリー。テヨンが釜山から京都までをたどる旅路を通じて、韓国人であるテヨンが、日本人と心を通わせ合う心の旅路を描き出す。
総合プロデューサーを務めた益田祐美子は、本作の完成に感無量の表情。「複雑な状況で、撮影が中断したこともあり、どうなるのかと心配したこともありました。しかし、日韓両国の支援の中で、このように上映できることを本当にうれしく思います」とコメントし、会場からの大きな拍手を受けた。同舞台あいさつには、同作でナビゲーターを務めた韓国人俳優ユン・テヨン、ナレーターを務めた小宮悦子、乾弘明監督、そしてゲストとして女優・中村玉緒も出席したが、会場には鳩山由紀夫元内閣総理大臣、鳩山幸夫人、額賀福志郎衆議院議員、ファッションデザイナーの山本寛斎など、多数の来賓の姿もあった。
本作のナレーターを務めた小宮は「こういう機会がなければ李藝のことを知ることもなかった。貴重な機会を与えてくれて、感謝します」と晴れ晴れとした表情。さらに本作の最後の方に登場するナレーションは小宮自身が考えたそうで、「日韓にはさまざまな課題がありますし、過去にも不幸な歴史がありました。それでも李藝が生涯をかけて行ったように、語り合い、理解しようという願いを込めて、ナレーションを考えました」と述懐。それに対し、テヨンも「両国は難しい関係だと思う。でも、この映画を撮りながら考えたのは、韓国と日本の600年後はどういう関係になっているのか。そのためには自分は何をやればいいのか。考えてもらえたらと思いました」と応じた。
また、花束ゲストとして出席した中村は「今、わたしは李藝さん(が亡くなった年)と同じ73歳。何か縁があるのかなと思いました。わたしは現在、韓国映画のファンで、韓国のチャンネルをお金を出して観ております。とてもいい機会をもらえて、うれしく思います」と笑顔を見せた。(取材・文:壬生智裕)
映画『李藝 最初の朝鮮通信使』は6月1日より全国順次公開