ジブリ新作、『風立ちぬ』コピーは「生きねば。」
7月20日に公開されるスタジオジブリ最新作『風立ちぬ』のキャッチコピーが発表された。今回発表されたキャッチコピーは「生きねば。」。これまでにも「生」という字を用い、その時代を生きる人々に向け、強烈なメッセージを発信してきた宮崎駿監督作品。今作のキャッチコピーには、1984年に公開された名作『風の谷のナウシカ』とのつながりもあるという。
1997年に公開された『もののけ姫』では、「生きろ。」、2001年に公開された『千と千尋の神隠し』では、「『生きる力』を呼び醒ませ!」、2004年に公開された『ハウルの動く城』では、「生きる楽しさ、愛する歓び。」、2008年に公開された『崖の上のポニョ』では、「生まれてきてよかった。」と「生」のメッセージを発信してきた宮崎監督作品。
最新作『風立ちぬ』のキャッチコピーに決定した「生きねば。」は、宮崎監督が執筆した『風の谷のナウシカ』の原作漫画最終巻の最後のコマに登場するメッセージだ。原作漫画は、映画化されたのは2巻の途中までだったが、映画公開後も連載が続き、7巻で完結。ナウシカは、どんな苦境にも負けず前に進み、人類と自然と共に生きることを選択し、物語は「生きねば。」というメッセージで幕を閉じていた。
『風立ちぬ』の舞台は、1920年代の日本。人々が不景気、政治不信、大震災にあえいだ情勢は、現代日本と酷似している部分がある。2011年3月11日、東日本大震災、そして福島第一原子力発電所事故が発生した際、再び注目された『風の谷のナウシカ』。その原作本が発していた「生きねば。」のメッセージが、『風立ちぬ』のキャッチコピーに起用されたことからは、「たとえどんな時代でも力を尽くして生きることが必要」という宮崎監督の思いが見えてくるようだ。
零戦の開発者・堀越二郎の半生に、堀辰雄の小説「風立ちぬ」を重ね合わせ、宮崎監督が初めて実在した人間をモデルに約30年の物語を紡いだ『風立ちぬ』。公開されたポスター画像には、宮崎監督が題字を務めたタイトル『風立ちぬ』と共に、鈴木敏夫プロデューサーが筆文字で記した「生きねば。」の文字が刻まれ、作品に込められた強いメッセージを伝えている。(編集部・島村幸恵)
映画『風立ちぬ』は7月20日より全国公開