『アンパンマン』新作に大気汚染問題…94歳・原作者やなせたかしが込めた希望
国民的人気アニメ「それいけ!アンパンマン」の生みの親・やなせたかし(94歳)が1日、東京・日本橋三越本店で本日より開催される展覧会「アンパンマンとやなせたかし展」のオープニングセレモニーに出席し、7月に公開を控える劇場版最新作『それいけ!アンパンマン とばせ!希望のハンカチ』に込めた強い思いを語った。
東日本大震災を受けて「復興」をテーマに制作された前作『それいけ!アンパンマン よみがえれ バナナ島』に続き、「希望」をテーマに制作された今作。セレモニーには、そんなアンパンマンのメッセージに勇気づけられ死体安置所を回ったという被災地出身の女性が感謝に訪れ、やなせはじっとその女性の言葉に耳を傾けると「頑張ってください、希望はあります」と真摯(しんし)に語りかけた。
さらに、映画のタイトルにも入っている「希望のハンカチ」には、復興からの「希望」を重ねていることにも言及し「瓦礫(がれき)や汚染した大地の処理など非常に難しいけど、希望がないわけではない。広島だって皆でやったんだ。だからくじけないで。(わたしは)大したことはできないけど、映画の中でも大気汚染の問題を取り上げているんです」と本作を通して日本に希望のメッセージを届けたい思いを明かした。
また、同展はやなせの作家活動60年、絵本「あんぱんまん」出版から40年、そして国民的人気テレビアニメ「それいけ!アンパンマン」の放映から25年を記念して開催されるもので、会場内にはアンパンマンのアクリル画や絵本原画を中心におよそ230点の作品が展示。高さ2メートル、横1.5メートルを超える大迫力のレプリカも展示され、入り口には同展覧会のために描かれた新作も。セレモニーにはアンパンマンの着ぐるみも登場しテープカットを行ったほか、上機嫌のやなせが即興で三越の歌を歌うなどして盛り上げた。
映画『それいけ!アンパンマン とばせ!希望のハンカチ』は、やなせたかし原作の人気アニメーションシリーズ劇場版第25弾。ばいきんまんが開いたばいきんサーカスのせいで何もかもを汚染されたアンパンマンたちが、困難をものともしないで立ち上がる前向きな姿を描く。(取材・文:中村好伸)
「アンパンマンとやなせたかし展」は東京・日本橋三越本店新館7階ギャラリーにて5月6日まで開催
映画『それいけ!アンパンマン とばせ!希望のハンカチ』は7月6日より全国公開(同時上映『みんなでてあそび アンパンマンといたずらオバケ』)