天皇陛下の戦争責任を問う話題作、主演女優は「正直、わからない部分が多い」
27日、映画『戦争と一人の女』の初日舞台あいさつがテアトル新宿で行われ、天皇陛下の戦争責任を問うような同作について、主演の江口のりこが「わたしは演じる側なので、作品の思想に関しては正直、わからない部分が多いんです。渡された台本に書いてある人物になりきって演じるのがわたしの仕事。作品の思想に関しては特に賛同するとかそういう立場じゃない」と女優としての姿勢を明かした。この日はほかに永瀬正敏、柄本明、村上淳、企画の寺脇研、監督の井上淳一が登壇した。
原作が坂口安吾、企画は「ゆとり教育」問題などで注目を集めた元文部科学省の寺脇研、脚本は荒井晴彦という異色の組み合わせで話題の本作。往年の日活ロマンポルノや、かつての若松孝二作品などを彷彿させる官能作品であり、さらに劇中、天皇陛下の戦争責任を問うような過激な政治描写も含まれ、そういった点もまた注目を集めている。
江口は劇中、激しい暴力シーンや濡れ場などに体当たりで挑戦しているが、作品の思想が思想だけに、公開後不安もあったとのこと。普段は自分の公開作品はあまり観ないというが、本作に限っては「公開後何を言われるかわからないので2回見ました」と胸中を明かした。
その一方で、撮影で訪れた京都の松竹撮影所が印象的だったと語り、「スタジオの雰囲気などももちろんなのですが、何よりそこで働く人の雰囲気が素晴らしくて感動した」と振り返ると、「普段東京にいると会えない人たちと、映画を通じて一緒に仕事ができたことはわたしにとってとても光栄なことだった」と明かしていた。
また明日、4月28日は江口の33歳の誕生日。サプライズでバースデーケーキを受け取った江口は「こうやって、自分の誕生日の前日に一緒に映画を作った仲間たちに祝福されるのはうれしい」と大喜びの様子だった。(取材・文 名鹿祥史)
映画『戦争と一人の女』はテアトル新宿ほかにて公開中