原恵一×細田守×樋口真嗣、アニメ界を支える3人は飲み友達!! 原監督の実写デビューについて大いに語る!!
アニメ監督の原恵一が初めて、実写作品のメガホンをとった映画『はじまりのみち』シンポジウムが12日、東京工科大学蒲田キャンパスで行われ、原監督の“飲み仲間”である細田守、樋口真嗣の両監督が参加した。
本作は、『二十四の瞳』など数々の傑作を世に送り出した木下恵介 監督の生誕100周年を記念して制作された作品。木下監督は、21歳に松竹蒲田撮影所に入所し、31歳で映画監督デビューを果たすまで、東京・蒲田で過ごしたことから今回のイベントが開催された。
本作を一足早く観たという細田監督は「僕はずっと原監督のファンだったけど、(本作を観る前は)実写ということについては若干不安なところもあった」と述懐。しかし実際に映画を観て、「僕の作品を観て、実写でも撮れるんじゃないかと言う人がいるけど、アニメと実写では、リアリティの置き所が全然違うんですよ。それなのに、この『はじまりのみち』は今までの原作品と寸分たがわない原スピリットに満ち溢れていたのが驚くべきことであり、素晴らしかった」と絶賛する。
劇中で木下監督(加瀬亮)は、12人の生徒たちと触れ合う学校の先生(宮崎あおい)を見かけ、遠巻きにその様子を見つめる、というシーンがある。まさに代表作『二十四の瞳』を思わせるシークエンスについて「宮崎あおいさんがすごくよかった。宮崎さんはカメラに近いカットで撮影されることが多いのに、あれだけ離れたショットで撮影していて。それなのに、雄弁に語っている。あの横顔がよかった」と熱く語り始める樋口監督に対し、原監督は「(宮崎を)望遠からしか撮らなくて、本当に良かったんだろうかと思っていた」と述懐。
日本映画初のカラーへの挑戦、カメラをななめにするトリッキーな画面、モノクロフィルムへの着色など、チャレンジング精神あふれる木下監督の実験精神は意外に知られていない。それについて原監督は「失敗を恐れずに冒険する姿勢には感動しますよね。監督として驚くような踏み出し方、冒険をすることなんかは、どこかで意識している部分があります」とコメント。さらに「今回も、迷ったときには木下作品のように過激なことをしてやろうと思っていました。ただ、やっぱり過激にいくのは怖いですよ。だいたいの人は、え? という反応をすることが多いですからね。もちろんその通りにならなかったことも多かったけど、ぼくとしては結構過激な作品になったんじゃないかと思いますね」と満足げな表情を見せた。(取材・文:壬生智裕)
映画『はじまりのみち』は6月1日より全国公開