佐藤健&綾瀬はるか、運命は信じる?信じない?
第9回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した乾緑郎の同名小説を『アカルイミライ』などで知られる黒沢清監督が映画化した『リアル~完全なる首長竜の日~』に出演した佐藤健と綾瀬はるかが、人生観の一部を打ち明けた。
本作で二人が演じるのは、リゾート開発が進む島で、幼少期を共に過ごした幼なじみの浩市と淳美。大学時代に再会して同棲(どうせい)を始めた二人だったが、あるとき淳美が自殺未遂を起こしてしまう。こん睡状態から覚めないことから、浩市はセンシングという先端医療を使って淳美の意識下に潜り、自殺しようとした理由を探るのだが……という設定で、二人は仮想と現実が交錯する世界で苦悩する姿を見事に演じている。
そんな本作のキーワードは「運命」。そのことに関連して、佐藤は「俺は運命って、そこに『ある』ものだと思います」と持論を展開。芝居をする際も「無駄を省き、シンプルであることを意識する」という佐藤らしく、運命についてもあらがうことなく受け入れるという姿勢を打ち出した。
それに対し、綾瀬は「どんな親から生まれるかとか、自分では変えられないどうしようもないことはあると思う。でも、どう生きていくかは自分がどうしたいかだと思うんですよね」と佐藤とは対照的な意見を口にした。「例えば、淳美と浩市にしても、センシングをして意識の中に入ってでも助け出したいと思うのは、運命じゃなくて浩市の意志だと思うんです」ときっぱり。
「だから結局は、運命があったとしても、その人の意志が勝るんじゃないかな。全てはその人の意志で動いているんじゃないかなと思います」と力説する綾瀬には、佐藤も思わず「なるほどね」と納得している様子で、その姿はまるで劇中そのままの恋人同士のような雰囲気を醸し出していた。(取材・文:小島弥央)
映画『リアル~完全なる首長竜の日~』は6月1日より公開