千葉真一、ブルース・リーとの幻の共演企画を振り返る!
俳優の千葉真一が17日、ブルース・リーの若き日を描いた映画『李小龍 マイブラザー』の舞台あいさつに出席し、ブルースと千葉が共演する、幻の企画について振り返った。
現在74歳。ブルース・リーが世に出る以前から、出演する空手映画などが海外でも知られていた千葉は、「ある日、僕の事務所に『ブルース・リーを知っていますか? 興味はありますか?』と香港から問い合わせがあったんです」と共演企画について明かし、「もちろん興味があると答えたら、香港に来てブルース・リーと話をしてみませんか、と言うんですよ」と振り返る。
香港映画については、当時「何年遅れているんだ、と見下ろしていた」という千葉だが、ブルース・リーは別だった様子。『燃えよドラゴン』公開時「すごい人が出てきたと思った。普通の俳優が出来る動きじゃない。僕も真似できない。たいへんなショックを受けた」と高く評価していたといい、香港からのオファーにも「共演できたら、俺も勉強になるかもしれない」と引き受けたという。
しかし、いざ香港に着くと「大変なニュース(ブルースの死)が流れていて、僕らはあぜんとしたんです」という千葉。「もともと相手がどこまで本気か疑わしく、(タイミングがよすぎるため)彼の死のニュースが信じられなくて、最初は断る口実だろうと思ったんです。でも事実だった。結局、共演は夢のまた夢に終わったんです」と悔しさをにじませた。
「アジア人として世界に唯一通用する俳優だった。彼を観てからしばらく空手をやりたくなかった。あの人の武術は奥が深いんです。神業のようなものを持っていて、さらに哲学もあった。本物だった」とブルースを称賛する千葉。幻となった共演作についても「面白いものが出来たと思う。僕は僕で、彼は彼で特殊なものがあった。僕は彼のどんな要求にも応える自信があった」としみじみと語り、「生きていたらアジアの映画はもっと良くなっていた」とその死を惜しんだ。
同作は、ブルース・リーの実弟ロバート・リーが制作総指揮を務め、ブルースが渡米する前の青春時代を描いた作品。家族しか知らない人間ブルース・リーの秘話を盛り込み、彼がスターになるまでの、若き日の素顔が描かれている。(取材・文 名鹿祥史)
映画『李小龍 マイブラザー』は新宿武蔵野館ほか全国順次公開中