松本零士、ベネチアで“生涯現役”宣言!「創作に終わりはありません」
第70回ベネチア国際映画祭
第70回ベネチア国際映画祭特別招待作品『キャプテンハーロック』の公式会見が現地時間3日に行われ、原作総設定の松本零士氏、荒牧伸志監督、声優を務めた三浦春馬らが出席した。ベネチアでは先日、宮崎駿監督の引退が発表され世界に衝撃を与えたばかりだが、一方の松本氏は会見の席で生涯現役を高らかに宣言した。
それは司会者から、松本氏が1977年に発表した原作「宇宙海賊キャプテンハーロック」が『キャプテンハーロック』として新たに、しかも3Dでよみがえったことについて尋ねられたときだった。松本氏は「CGや立体アニメなど、今はある意味第2の表現形態への変換期で、その大きな時代の変わり目に遭遇したのは幸せ。キャプテンハーロックにとっても新たな船出が始まったと思う」と語り始めた。
自身が手掛けた「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」などの作品は大きな物語として連携しており、いずれ一つの作品にまとめたいという思いがあるという。しかし「全部まとめると『あいつはお墓に行く』と思われるので、まだまだ書きたくない。それは遥か彼方のこと。それを信じて元気に頑張ります」と宣言すると、会場から大きな拍手が沸き起こった。
松本氏は1938年生まれ。宮崎監督の3つ年上で75歳となる。先日、ベネチアで行われた『風立ちぬ』の会見では、スタジオジブリの星野康二社長によって、宮崎監督が劇中の「創造的人生の持ち時間は10年」というセリフに関して「自分の場合は随分前に(10年のピークは)終わった」と漏らしていたことが明かされた。
その発言を意識してか、この日の松本氏は「創作に終わりはありません」とキッパリ。それどころか「自分には夢がいっぱいあるし、本当なら今は火星に住んでいる予定だった。それに作家としてはまだ10分の1しか書けていない。暴れまわるのが好きで体は健康。これからも皆さんと一緒に頑張りたい」と“絶口調”だ。
最後には若い人たちへのメッセージとして「『人が涙を流すのは恥ではない。諦めることの方が恥なのだ』。だから、歯を食いしばって頑張れ。そんな若者たちを励ますために、こういう仕事を続けていきたいと思っています」と語り掛けるなど、さすがの貫禄で会見を独壇場にしていた。(取材・文:中山治美)
映画『キャプテンハーロック』は9月7日全国公開
第70回ベネチア国際映画祭は現地時間9月7日まで開催