南北統一を切に願って…鬼才キム・ギドク脚本の新作上映
第26回東京国際映画祭
第26回東京国際映画祭コンペティション部門出品作『レッド・ファミリー』の記者会見とQ&Aが24日に六本木で行われ、本作で長編デビューを果たしたイ・ジュヒョン監督はじめ、キム・ユミ、チョン・ウ、パク・ソヨンら出演陣、そしてエグゼクティブ・プロデューサーのキム・ギドクが出席した。
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本作はギドクが脚本も手掛ける、朝鮮半島の問題を描いたドラマ。北朝鮮のスパイによる疑似家族と韓国の家族、双方の家庭の矛盾を、シリアスなテーマと絶妙なユーモアを交えてつづりながら、現代の南北問題に迫る。
「南北統一を切に願って製作した映画」というギドクは、「韓国では南北問題を扱った作品がたくさん作られていますが、アクションやコメディー、アイドルを起用して作られたものが多い。わたしはもっと違う形で南北問題を表現したかった」とコメント。「このような映画が作られることによって世の中はまた変わっていきますし、世間が現実を見つめなおすいい機会を生むはず」と作品への思いを語った。
また同作は、フランス留学経験を経て、数々の短編アニメやドキュメンタリーを製作してきたイ・ジュヒョンの長編デビュー作でもある。監督起用についてギドクは「彼の短編アニメを観て、人間の苦痛というものに対してきちんと理解をし、人間が生きていくということに対して温かい視点を持っていると思った。実際わたしが思っている以上の作品になった」と説明。「わたし自身が演出するより、健康的に出来上がるね」と笑顔で付け加えた。
そのジュヒョン監督は、脚本を受け取ったときを振り返り「ちゃんと演出できるか不安だった。大変なプレッシャーがあったけど、自分自身で解決していかなければいけないことだと思って取り組んだ」とコメント。撮影現場におけるギドクとの関係についても「心が開かれていて、(後輩の)わたしの意見も受け入れてくださった。共に悩んでくれたりもした」と語り、最後は「現場を支えてくださった多くの方の情熱に助けられた」と関係者への感謝の気持ちを述べていた。 (取材・文 名鹿祥史)
第26回東京国際映画祭は10月25日まで六本木ヒルズをメイン会場に開催中