東京フィルメックス、最優秀作品賞はグルジア・ドイツ・フランス合作映画に!
アジア圏を中心に新進監督の作品を集めた国際映画祭「第14回東京フィルメックス」の受賞記者会見とクロージングセレモニーが30日、有楽町朝日ホールで行われ、最優秀作品賞にグルジア・ドイツ・フランス合作映画 『花咲くころ』 が選ばれた。
『花咲くころ』は、1990年代前半のグルジア社会を背景に、10代少女の力強い生命力をエネルギッシュかつリアルに描いた作品。同作のナナ・エクチミシヴィリとジーモン・グロス監督の来日は残念ながらかなわなかったものの、二人は「知らせを聞いて、わたしたちの一日は一瞬にして変わりました。世界の全く別の場所にいる人々の心に自分たちの作品が届くというのは素晴らしく最高の気分です」とのメッセージを寄せた。
また、これからが期待される監督に贈られるスペシャル・メンションには、タイ・アメリカ合作映画『カラオケ・ガール』(ウィッサラー・ウィチットワータカーン監督)、日本映画『トーキョービッチ,アイラブユー』(吉田光希監督)が選ばれた。吉田監督は「審査員の方からの『まだまだ映画を作りなさい』というエールだと受け止めました。大切にしたいです」と語り、セレモニーでは感極まってあいさつ中に声を震わせる一幕もあった。
また、観客賞は、台湾のアカデミー賞ともいわれる「第50回台北金馬奨」で最優秀長編作品賞を獲得したばかりのシンガポール映画『ILO ILO(英題)』が受賞。監督のアンソニー・チェンはセレモニーに登壇して、「各地でさまざまな映画賞をいただきましたが、観客賞を受賞したのは初めて。とても光栄です。ありがとうございました」と笑顔を見せた。
クロージングセレモニーには、同映画祭ディレクターの林加奈子、審査員を務めるイラン映画の巨匠モフセン・マフマルバフ、女優の渡辺真起子、フランスのプロデューサーでユニフランス中国支局長のイザベル・グラシャンらが登壇した。
受賞結果は以下のとおり
■最優秀作品賞
『花咲くころ』 (グルジア・ドイツ・フランス、ナナ・エクチミシヴィリ/ジーモン・グロス監督)
■審査員特別賞
『ハーモニー・レッスン』(カザフスタン・ドイツ・フランス、エミール・バイガジン監督)
■スペシャル・メンション
『カラオケ・ガール』(タイ・アメリカ、ウィッサラー・ウィチットワータカーン監督)
『トーキョービッチ,アイラブユー』(日本、吉田光希監督)
■観客賞
『ILO ILO』(シンガポール、アンソニー・チェン監督)
■学生審査員賞
『トランジット』(フィリピン、ハンナ・エスピア監督)
(取材・文 名鹿祥史)