アメリカで『風立ちぬ』を観た人に直撃!第二次世界大戦での敵国として感じたこと
第86回アカデミー賞長編アニメ賞にノミネートされている宮崎駿監督『風立ちぬ』がアメリカで公開されたが、ハリウッドの劇場で鑑賞直後の観客に感想を聞いてみた。果たしてアメリカ人の『風立ちぬ』への評価は? (インタビュアー:こはたあつこ)
聞いてびっくり! 宮崎駿監督の『風立ちぬ』街頭インタビュー動画
宮崎駿監督の『風立ちぬ』は、『The Wind Rises』というタイトルで、日本以外では世界に先駆け北米で、いち早く劇場公開された。ハリウッドにあるエル・キャピタンシアターの観客は比較的若い年齢層。女性2人組は「宮崎監督のファン。感動しちゃった」とあふれる感情が隠せない様子。「映画を観て泣いたか?」の質問に対しては、「もちろん。感動したわ」という女性も多かった。また、男性からの評価も高く、「二人の悲恋にうちのめされた」「エンジニアたちの仕事の描かれ方が面白い」「映像がまるで詩のよう。美しい」とドラマ性や映像に対して絶賛していた。
本作は第二次世界大戦を日本人の視点から描いており、当時の敵国だったアメリカ人にとって、この物語がどう映るのか興味深かったのだが、「これは日本人に限らず人間の物語だ」と答える男性や「アメリカでは第二次世界大戦の歴史をアメリカの立場で学び、日本やドイツが敵国と書かれています。でもこの作品は技術などの発展を人間の視点で描いています。とても勉強になった」と客観的に鑑賞している人が多いことも印象的だった。「同じ人間同士で、こんなに苦しんだことが悲しい」と戦争へのむなしさを訴える人もいた。
また、同じアカデミー賞長編アニメ賞にノミネートされた、本作のライバルともなるディズニーの『アナと雪の女王』とどちらが賞をとるかについては、『風立ちぬ』と答える人も多かった。この劇場ではスタジオジブリ展示会場を併設しておりこちらも大勢の客で盛況だった。宮崎駿監督の引退を惜しむ声もきかれ宮崎作品が日本でなくアメリカ人にも愛されていることが感じとれるインタビューだった。(編集部)