香港アカデミー賞「金像奨」『グランド・マスター』が12部門制覇の快挙!
今年で33回を迎えた香港のアカデミー賞こと香港電影金像奨授賞式が現地時間13日、香港文化センターで開催され、本場ハリウッドのアカデミー賞でも2部門でノミネートされた映画『グランド・マスター』が最優秀作品賞・監督賞(ウォン・カーウァイ)・主演女優賞(チャン・ツィイー)など、計12部門を受賞する快挙を果たした。
伝説の武術家イップ・マンを描き、日本でも昨年公開された『グランド・マスター』。この日の受賞も、本命視されていたものの、脚本家出身であるウォン監督の脚本賞初受賞に始まり、美術・衣装デザインのほか撮影・編集・音楽といった技術賞まで、他の強豪作を寄せ付けない独走状態に。
さらに劇中、イップ・マンの宿敵を演じたマックス・チャンが助演男優賞に選ばれるや涙したチャン・ツィイーも、同じくウォン監督の『2046』に続き、2度目となる主演女優賞を受賞。ちなみに、作品賞のプレゼンターを務めたのはジャッキー・チェンであり、壇上でジャッキーとウォン監督が握手を交わす夢の光景も見られた。金像奨常連のウォン監督作だが、これまでの受賞時に比べ、関係者の誰もが感極まった様子なのが印象的だった。それは数度の撮影中断を乗り越えた努力がここで報われた、という彼らの熱い思いからであろう。
しかし、この日一番場内を沸かせたのが主演男優賞の発表。この勢いから、同作でイップ・マンを演じたトニー・レオンの受賞を誰もが信じてやまない中、当初から対抗馬とされていた『激戦』のニック・チョンが堂々の受賞! 総合格闘技に挑む元ボクサーを演じるため、46歳にして驚異の肉体改造を経た彼の熱演が光る『激戦』は、昨年香港においてメガヒットを記録。日本では第26回東京国際映画祭で上映されたのみだが、今回の受賞を機にトニーをKOしたニックの役者魂を劇場でも堪能したいところだ。(取材・文:くれい響)
主要部門の受賞結果は以下の通り
■最優秀作品賞
『グランド・マスター』
■主演男優賞
ニック・チョン 『激戦』
■主演女優賞
チャン・ツィイー 『グランド・マスター』
■助演男優賞
マックス・チャン 『グランド・マスター』
■助演女優賞
クララ・ウェイ 『リゴル・モルティス / 死後硬直』
■監督賞
ウォン・カーウァイ 『グランド・マスター』