吉祥寺に新映画館が誕生へ!バウスシアターのクロージング作品初日に発表
26日、5月末での閉館が発表された吉祥寺バウスシアターで行われた映画『さよならケーキとふしぎなランプ』初日舞台あいさつ内で、本作の松江勇武プロデューサーが、バウスシアターの遺伝子を受け継ぐ新映画館を吉祥寺に作ることを発表した。この日は本作に出演する平田薫、梅垣義明、そして金井純一監督も来場した。
バウスシアターのクロージング作品となる本作は、吉祥寺の発展を願うスタッフや協力者の手によって、映画制作から劇場公開までを一貫してプロデュースする「吉祥寺で映画を撮ろう!」プロジェクトの第4弾作品。シンガー・ソングライターの堂島孝平ふんする店長のカフェに集まる人々の不思議な交流を描く。主演の堂島はビデオレターを通じて「バウスシアターがなくなると聞いてさみしい」と閉館を惜しんだ。
ハモニカ横丁で居酒屋「おふくろ屋台」のオーナーを務める傍ら、本プロジェクトの発起人として吉祥寺の発展に関わってきた松江プロデューサーは、「こういった活動ができるのもこの劇場があったから。バウスが閉館すると聞いて、自分でも何かできないかと思い、あくまで目標としてですが、2年後をめどに新しい劇場を作れるよう話を進めています」と明かした。
消防法や建築法、そして資金面などの調整が手間取っているため、「場所、形態についての詳細はまだ発表できない」としつつも、「吉祥寺駅から徒歩10分圏内」「バウスシアターが展開したようなエッジのきいたプログラムの継承」「可能ならばバウスシアターの名称は残したい」「2スクリーン」「50席前後の劇場」「可能ならばフィルム上映も視野に」と構想を語る松江プロデューサー。バウスシアターの代名詞ともいえるライブ用のPAシステムを使用した「爆音上映」については、「可能ならば継続したいが、それはこれからの交渉次第」と付け加えた。
吉祥寺バウスシアターの本田拓夫代表取締役は「閉館ということで申し訳ないという気持ちでいっぱいであります。閉館の理由はいろいろとありますが、老朽化ということでご理解いただけたら。吉祥寺を買い物だけの町にしていいのか? 町には文化が必要だという気持ちで孤独な戦いをしてきましたが、(新劇場誕生の際には)老骨にむち打ってお手伝いしたい」とサポートを宣言した。(取材・文:壬生智裕)
映画『さよならケーキとふしぎなランプ』は吉祥寺バウスシアターにて公開中