ヒーローを苦しめる悪党どもを網羅!究極のヴィラン特集ムック本!-映画秘宝
アメコミ作品において、ときにヒーロー以上に重要な役割を果たすのが、彼らと敵対する悪党(ヴィラン)たちの存在だ。映画専門雑誌「映画秘宝」のムック本「別冊映画秘宝 アメコミ映画完全ガイドスーパーヴィラン編」では、そんなアメコミ映画に欠かせない存在である悪役を特集。その魅力と背景を、分析している。
3人の悪役が登場する映画『アメイジング・スパイダーマン2』を例に出すまでもなく、アメコミ映画においては、1作品に複数の悪役が登場するのは珍しくない。そのため自然とヒーローよりも数が増えるわけだが、本書では、キャラクターをアルファベットのA~Zに並べた辞書形式で網羅。その一人一人に、原作における描写など、丁寧な解説が添えられている。
一方、筆者の思い入れを色濃く反映した偏り方も特徴の一つで、2003年の映画『デアデビル』でコリン・ファレルが演じた、手にしたものを何でも投げて標的に命中させる悪役・ブルズアイの紹介にはなぜか2ページが割かれ、「今になってあの映画を思い出そうとしても、頭に浮かぶのはこの男のことばかり」と思い入れたっぷりに絶賛。また同じく2ページを使って紹介している、『バットマン』の女性悪役キャットウーマンを「キャットウーマン、いいよねえ」とストレートに紹介するあたり、秘宝らしさを感じてほほ笑ましい。
とにかくヒーローばかりが注目を浴びがちなアメコミ映画だが、主役の活躍が観客にかっこよく映るのは、魅力的な悪役がいてこそ。彼らの価値を再確認できる、アメコミ映画鑑賞において欠かせない一冊となっている。(編集部・入倉功一)
「別冊映画秘宝 アメコミ映画完全ガイドスーパーヴィラン編」は発売中 価格: 1,500円+税 / 洋泉社刊