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聴覚障害者学校での虐待を描いた『トガニ』の鬼才、新作で心温まるファンタジーに挑んだ理由とは?

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来日したファン・ドンヒョク監督
来日したファン・ドンヒョク監督

 映画『トガニ 幼き瞳の告発』などの鬼才ファン・ドンヒョク監督が4日、最新作『怪しい彼女』の公開に先駆け来日を果たし、クリエイターの卵たちが学ぶバンタンデザイン研究所 東京校で行われたトークショーに出席した。この日は『フラッシュバックメモリーズ3D』などで知られるドキュメンタリー映像作家の松江哲明監督も参加し、学生からの声も交えながらドンヒョク監督を質問攻めにした。

映画『怪しい彼女』場面写真

 本作は、聴覚障害者学校での暴行や性的虐待を描いた『トガニ 幼き瞳の告発』のドンヒョク監督が、前作とはガラリと趣向を変えて新境地を開拓した心温まるファンタジー。70歳の老女が突然20歳の自分に若返ってしまったことから巻き起こる珍騒動を、爆笑と感動の涙で盛り上げていく。

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 誰もが気になるのが、前作と本作のテイストの目を疑うほどのギャップの大きさ。この経緯についてドンヒョク監督は「前作はシナリオの段階から苦労しました。タバコは1日3箱、食事も喉を通らず、ストレスで不眠症にもなりました。映画は大きな反響がありましたが、こんな映画を撮っていたら長生きしないと思い、次はヒーリングになるような楽しい作品にしたかった」と説明した。

 また、松江監督からキャスティングの素晴らしさを絶賛されたドンヒョク監督は「当初、シム・ウンギョンの名前は挙がっていませんでしたが、彼女の明るくて少し猟奇的な魅力に惹(ひ)かれたわたしは、脚本を全て書き直しました。彼女はさほど知名度もなく、単独の主演は興行的に難しいと反対する人もかなりいましたが、説得しましたよ」と意外な舞台裏を明かした。

 学生からの「もし映画のように20歳に戻れるとしたら、監督は何をしたいですか?」という問いには、「わたしの時代は学生デモが盛んな重い時代だったので、恋愛もできなかった。今、もし戻れるなら、合コンをして、好きな女の子に告白してみたい」と笑顔。

 さらに今後撮りたい映画について質問が及ぶと「以前からSF映画を撮ってみたいと思っていました。基本的に怠け者なので、今度は自分が観たいと思う作品を、自分のために撮ってみたい」とまるでクリエイターの卵のように目を輝かせて語っていた。(取材:坂田正樹)

映画『怪しい彼女』は7月11日よりTOHOシネマズみゆき座ほか全国公開

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