映画フィルムに未来はあるのか?保存庫を大公開
神奈川県相模原市にある世界有数の映画フィルム保存施設「フィルムセンター相模原分館」の見学会が17日に行われ、報道陣に内部が公開された。
同館は国立映画機関「東京国立近代美術館フィルムセンター」の分館であり、文化財である映画フィルムの保存・復元を主な目的として1986年に開館。敷地内に3棟ある保存庫では約49万缶のフィルムが収蔵可能で、現在はおよそ4割が埋まっている。
フィルム保存の長期安定性はデジタルよりも信頼性が高く、適正な環境で管理すれば数百年は安定的に保存できるとされており、保存庫では空調システムにより24時間温湿度を管理。温度は2~10度、相対湿度は35~40パーセントに設定され、フィルムを外に持ち出す際には温度差による結露を防ぐため、「ならし室」と呼ばれる部屋で段階的に温度慣らしを行うなど、細心の注意が払われている。
近年、映画製作の現場でフィルムは減少傾向にあるが、同館では劇映画以外にもアニメーションやニュースなど幅広いジャンルのフィルムを扱っているため、年間でおよそ1万缶のフィルムが新規に収蔵されているという。さらに、日本映画誕生初期の1910年から2009年までの100年間で撮影された約3万5,000作品の日本劇映画のうち、収蔵されているのは約2割の6,700作品ほどであり、今後さらに貴重なフィルムが寄せられる可能性もありそうだ。
その一方で、問題点の一つとして主任研究員のとちぎあきら氏は「フィルム検査に携わるスタッフの高齢化」を挙げ、若手スタッフの育成が課題になっていることも語っていた。(中村好伸)