巨大竜巻映画、お金をかけないで撮る秘訣! 『イントゥ・ザ・ストーム』はこうやって作りました!
ジェームズ・キャメロン監督の映画『タイタニック』『アバター』で第2班監督を務め、20年以上にわたって視覚効果などに携わってきたことで知られるスティーヴン・クォーレ監督が、新作『イントゥ・ザ・ストーム』について語った。
本作は、直径3,200メートル、秒速135メートルというジャンボジェット機すら巻き上げる巨大竜巻に襲われた、アメリカ中西部の街シルバートンを描いた体験型ディザスターパニック。愛する人を守りながら必死に逃げまどう人々、そしてスクープを目指して渦中に突っ込んでいくストームチェイサーたちの視点から巨大竜巻の猛威を映し出す。
自身も中西部で育ったクォーレ監督は「コミュティーがいかにしてグループを築き、強い意志で困難を乗り越え、それぞれがいかに学んでいくかを伝えたかった」と本作に込めた思いを説明。「僕自身もロサンゼルスで地震を体験した際、全く知らなかった隣人と地震後に話せたことがあった。もちろん、そんな災害を通してようやく人がつながるのは寂しいことだが、それが人類が共通に持つ結束力なんだ」と続けた。
巨大竜巻の映像は圧巻の一言だが、製作費はわずか5,000万ドル(約50億円・1ドル100円計算)。ちなみにヤン・デ・ボンの映画『ツイスター』は9,200万ドル(約92億円)、火山の噴火を描いた映画『ダンテズ・ピーク』は1億160万ドル(約116億円)。「長年大作に携わった僕の経験から、何をしなければいけないのか、どれくらい製作費がかかるのかはわかっていた。全てを事前に計画して、無駄な撮影を省き、重要な要素だけを集約することで製作費をかけずに良質な映像が作れるんだ。それに通常のディザスター映画は大きな外観を見せるワイドショットを多用するが、本作はリアルに巨大竜巻を観客が実際に体験しているような映像にした」と製作費を抑える秘訣(ひけつ)を明かした。
そのため本作は、キャラクターが持つ手持ちカメラとプロのスタッフが撮影した映像とで展開する。クォーレ監督は「キャラクターが持つ手持ちカメラは、ある意味“一人称の物語”だ。ロングテイクなどでは、手持ちカメラを使用する俳優にはリハーサルで事前に演じさせて、その際に彼らにも何か新たなアプローチを考えさせてから、本番で彼らが自然に演じられるようなアプローチもした」と語っている。その言葉通り、手持ちカメラの映像が作品に一層の臨場感をもたらしている。(取材・文:細木信宏/Nobuhiro Hosoki)
映画『イントゥ・ザ・ストーム』は8月22日より全国公開