吉永小百合&阿部寛、カナダ・モントリオールで異例づくしの大歓迎
現地時間29日、カナダで開催中の第38回モントリオール世界映画祭コンペティション部門に出品されている映画『ふしぎな岬の物語』の会見と舞台あいさつに企画・主演の吉永小百合と、吉永演じる悦子のおい役の阿部寛が参加し、異例の大歓迎を受けた。
【写真】吉永小百合、フランス語でスピーチ!モントリオール世界映画祭フォトギャラリー
この日行われたのは、記者向けのプレス試写会と、公式会見、公式上映。プレス試写会は朝9時からの上映だったが、7時30分から劇場前に長蛇の列ができ、地元カナダのほか、フランス、アメリカ、中国、インドなど世界各国の海外メディアが来場。上映後には「非常に美しい映画だったし、人間ドラマを感じた」や、「日本らしさがよく出ていると思う」「リアルで引き込まれた。笑いもあり、今まで観た中でベストだった」という感想が寄せられた。
会見には、開始1時間前からマスコミが集まり始め、開場と同時に用意されていた座席が満席に。映画祭側が急きょ席を追加したが、立ち見が出るほどの盛況ぶりで、普段は多くても50人程度というところに、約200人が集まった。映画祭スタッフはこれだけ人が集まる会見は見たことがないという。
そして吉永はフランス語であいさつ。なぜプロデューサーを務めようと思ったのか問われ、「数年前に大きな地震が日本でありたくさんの方が亡くなりました。そしてその中で亡くなった方と生きている方の間で命のリレーのようなものが行われてきたと思います。そしてこの作品を原作で読んだときにこれこそが今回わたしがやりたいと思っている作品だと思って選びました。そしてわたしが選んだという責任があるのでプロデューサーというかたちになりました」と思いを明かした。
公式上映では開演の2時間前から人が並び、開場30分前には200人以上の列にふくれあがった。これを見た映画祭のプレジデント、セルジュ・ロジーク氏の発案で、吉永と阿部の来場前に急きょレッドカーペットが敷かれるなど、異例の歓迎を受けた。
普段は使われることが少ない2階席も使用したが、1,000人収容の劇場は満員に。収まり切らず、立ち見となった人もいたため、急きょ追加上映も決まった。
上映前のあいさつで吉永はおよそ1分30秒のスピーチを全てフランス語で行った。「この作品は女優としてはもちろん、新参のプロデューサーとしても参加いたしました。そうなんです。女優であるわたしが初めてプロデュースした作品なのです。この作品が皆さまのお心に届くことができれば、わたしにとってこれほどうれしいことはございません」。
阿部もフランス語と英語を交えて約1分40秒のあいさつを行い、会場を沸かせた。「われわれは一人で生きているのではなく、それぞれの人生で意味を持つ友人・家族と一緒に生きています。われわれはみんな支え合っています。どうぞ楽しんでご覧ください」。
上映後はエンドロールが始まると同時に吉永と阿部に温かい拍手が送られた。
モントリオール世界映画祭は、1977年より開催されている国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の北米最大規模の国際映画祭。アカデミー賞の前哨戦としても注目されている。コンペティション部門には日本から綾野剛主演の『そこのみにて光輝く』も出品。授賞式は現地時間9月1日に行われる。受賞の吉報を期待できそうだ。(編集部・小松芙未)
映画『ふしぎな岬の物語』は10月11日より全国公開