スティーヴン・ホーキングを演じる難しさとは?『レ・ミゼラブル』のエディ・レッドメインが明かす
映画『レ・ミゼラブル』のエディ・レッドメインが、理論物理学者スティーヴン・ホーキングを描いた話題作『ザ・セオリー・オブ・エブリシング(原題) / The Theory of Everything』について語った。
本作は、スティーヴン(エディ・レッドメイン)はケンブリッジ大学で出会ったジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と交際するが、彼は難病「筋萎縮症側索硬化症」と診断され、身体の運動機能を失い始めるなか、二人は結婚し共に困難を乗り越えようとするが、前途多難な日々が待ち受けるというドラマ。映画『マン・オン・ワイヤー』のジェームズ・マーシュがメガホンを取った。
スティーヴンの身体の変化を演じる準備過程は「ロンドンでスティーヴンと同じ症状の30~40人やその家族に会って、症状の変化を学んだ。さらに80年代以前はスティーヴンの映像がないため、彼の写真を持って、『筋萎縮症側索硬化症』の専門家にも会った。その他にはスティーヴンの体の変化をチャートにしたり、プロダクションが購入してくれたiPadにスティーヴンの映像や写真を入れ、それを見ながら鏡の前で顔の表情や体の動きを準備した」と明かした。
妻ジェーンとスティーヴンの周りの友人について「『筋萎縮症側索硬化症』の人たちを世話するヘルパー(家族や友人も含め)たちは、まるでその患者の体の一部であるかのように共に行動するが、それは素晴らしいことだ。なぜなら患者とヘルパーは、まるでダンスを共に踊るように親密な関係になっていくからだ。だからフェリシティと僕は、スティーヴンの体の変化に伴った身体の動きを、支える人、支えられる人として、数週間共に訓練した」と答えた。映画内では、二人の演技を通した、あうんの呼吸が見物。
実際のスティーヴンについて「もし僕が彼のように他の人に自分の身体を委ねなければいけないのなら、大きな自責の念を感じただろうし、毎回人に手助けされるたびに『ありがとう!』と言わなければならない状況も、僕には複雑で完全には理解できない。それでもスティーヴンは自信に満ちあふれ、茶目っ気もユーモアもある。彼は文学的で会話を完全に支配してしまうけど、彼が黙っている時にあえて僕が話すと、逆に自分のばかさ加減をさらすことにもなってしまった(笑)」と緊張したようだ。
映画は、難病を抱えながら偉業を成し遂げるスティーヴンを支える妻との関係が克明に描かれた秀作。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)