閉館寸前の老舗映画館を市民が救済!「横浜シネマリン」が再オープン!
今年3月に60年の歴史に幕を閉じようとしていた老舗映画館「横浜シネマリン」が、地元の映画文化を継承すべく立ち上がった市民の再生プロジェクトよって救済され、記念すべき新生オープン前日の12日、配給会社向けの劇場内覧会が行われた。
横浜・伊勢佐木町商店街に隣接する「横浜シネマリン」は、1954年のオープン以来、60年にわたって地元の映画ファンに愛され続けてきたが、劇場デジタル化の波に乗れず、閉館の危機に追い込まれていた。そんな中、長年横浜の映画サークルで活動してきた八幡温子氏が、「観たい映画を地元・横浜で観たい」という熱い思いから、内装と照明、映像と音響、番組編成のプロにそれぞれ声を掛けて再生プロジェクトを始動させた。
そして着工から3か月。外観は隆盛を極めた昭和の雰囲気をそのまま継承し、エントランスとロビーはモダンなスペースに改装。劇場内は、八幡氏の「快適で健康的な空間を」というコンセプトのもと、ウナギの寝床とも呼ばれた165席の前4列を撤去し102席に。その分、デジタル上映に対応したワイドスクリーンを前に出し、往年の名作も上映できるよう35ミリフィルムの映写機を2台導入した。
天井の空調を取り払って、サイドの通路もゆったりと取り、広々とした体感空間を実現。新導入されたドルビーサラウンド5.1の音響も、壁に張りめぐらされたグラスウールによって反響を抑え、LED照明によって季節や企画によって変化を付けられる工夫も施されている。
ついにこの日を迎え感無量の八幡氏は、「もともと映画館を作りたいという夢があったのですが、こんなカタチで実現するとは思わなかった。(伊勢佐木町界隈にあるミニシアターの)横浜ニューテアトルさん、ジャック&ベティさんと共に横浜の映画文化を盛り上げていきたい」と決意表明。また、番組編成を担当することになった元・吉祥寺バウスシアターの西村協氏は、オープニング上映作品として、ジュリエット・ビノシュ主演の『おやすみなさいを言いたくて』をセレクトしたことについて、「女性オーナーが運営していくという八幡さんのイメージもあり、この作品を編成しました。これからは、ドキュメンタリーなど社会性のある作品なども取り入れて、ジャンルを限定することなく、バランスの取れた編成を心がけたい」と抱負を語った。(取材:坂田正樹)
新生「横浜シネマリン」は12月13日よりオープン オープニング上映は『おやすみなさいを言いたくて』