ソニー、金正恩暗殺テーマの映画を公開中止へ クリエイターは非難
ジェームズ・フランコとセス・ローゲンが出演している、北朝鮮の金正恩第1書記の暗殺を題材にしたコメディー映画『ジ・インタビュー(原題) / The Interview』の公開中止をソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが発表。Varietyほか複数のメディアによると、ソニーは宣伝費等を含めた約750万ドル(約8億2,500万円・1ドル110円計算)以上を失ったほか、別会社も北朝鮮を題材にした別の作品の公開を見合わせるという状況が続いているという。
『ジ・インタビュー(原題)』の公開中止は、11月下旬にソニーが受けたサイバー攻撃に起因している。ソニーの新作や従業員の個人情報が流出した同事件で、ハッカー集団は『ジ・インタビュー(原題)』の公開差し止めをソニーに要求。もしも上映した際には、映画館にテロ攻撃を行うと予告していた。北朝鮮政府はこの件について関与を否定しているものの、アメリカ政府はこの攻撃に北朝鮮が関与しているとして対応を進めている。
Deadlineによると、この様子を見たパラマウントは、金正日氏をモデルとしたキャラクターが登場する人形映画『チーム★アメリカ/ワールドポリス』(2004)のリバイバル上映の中止を各映画館に要請したとのこと。また20世紀フォックスも、北朝鮮をテーマにしたゴア・ヴァービンスキー監督の新作の製作を中止しており、両社ともこの事態を重く見ているよう。
一方で、中止という要求をのむことは「アメリカの表現の自由が脅かされることになる」とベン・スティラー、ロブ・ロウ、マイケル・ムーアらが、ツイッターなどを通して映画会社の対応を批判。また「ベロニカは死ぬことにした」で知られるブラジルの人気小説家パウロ・コエーリョが、自身のツイッターで『ジ・インタビュー(原題) 』を10万ドル(約1,100万円)で購入したいとソニーに提案するなど、クリエイターたちもこの騒動を重要視している。
現地時間17日、ABC Newsのインタビューでオバマ大統領は「わたしは、皆さんに映画を観に行ってほしいと思う」とコメント。ホワイトハウスの報道官ジョシュ・アーネスト氏は、現地時間18日に行われた会見で「国家の安全保障に関する問題だ」と語り、今後の対応について協議を重ねていると発表した。(編集部・井本早紀)