リドリー・スコット監督の『エクソダス:神と王』、歴史的に誤りがあるという理由で、エジプトで公開禁止へ
リドリー・スコット監督、旧約聖書の出エジプト記を題材にしたクリスチャン・ベイル主演作『エクソダス:神と王』が、エジプトで公開禁止になったとVarietyが報じた。
ベイル演じるモーゼが、エジプト王ラムセスと反目し合い、ヘブライ人をエジプトから脱出させ、約束の地に導いていく様を描いた本作の公開を、エジプトの映倫は、「歴史上の事実に異なる内容が含まれている」として禁止とした。その歴史的誤りとは、映画の中ではユダヤ人がピラミッドを建てたことになっていたり、海が真っ二つに切り開かれたのは、モーゼの奇跡によってではなく、地震が起こったため、と描かれている点であるとのことだ。
エジプトの文化省の長官であるガバー・アスフォー氏は、「ユダヤ人奴隷が大スフィンクスやピラミッドを作ったことになっているのは、歴史上間違っている。なぜならそれらの建設は紀元前2540年ほどで、ユダヤ教の父とされるアブラハムが現れる500年以上も前の出来事だからだ」とコメント。さらに、「これは、シオニズムの考え方で、歴史上の誤りを含んでいるため、われわれは公開を禁止にした」と語っている。
結局、エジプトでは、12月24日に予定されていた公開初日の1週間前になって、公開禁止になった。今年始めには、預言者を描いたことが、イスラム教に反するとして、映画『ノア 約束の舟』がエジプトで公開禁止となっている。また、モロッコでも、エジプトと同様の理由で、『エクソダス:神と王』が公開禁止となった。(鯨岡孝子)