武井壮、仕事がない時代にインド映画に出演
タレントの武井壮が15日、都内で行われたインド映画『ミルカ』公開記念トークイベントに出席。自身の原点ともいうべき本作について語ったほか、来日したラケーシュ・オームプラカーシュ・メーラ監督から貴重なポスターをプレゼントされる一幕もあった。
1960年のローマ五輪でメダル獲得を有望視されながらも、結果的に国民の失望の声を一身に受けることになったインド人ランナー、ミルカ・シンの壮絶な半生を描いた本作。武井は、1958年に東京の国立競技場で行われたアジア大会のシーンに、ミルカと競う日本代表選手の役で出演している。
武井の出演シーンが撮影されたのは2012年の春。そのころの武井は「テレビに出る前で暇だった」といい、「そんなときに知人から、映画にエントリーしないかというメッセージがFacebookで来て。リアルなアスリートで、撮影が2週間できる人という条件だった。それでプロフィールを送ってみた」と明かす。
その結果、見事出演を勝ち取った武井はインドに向かった。「貯金が1円もない状態で、マネージャーから1万円を借りたのに、両替するのを忘れてしまい、1円もなかった。仕方ないので、初日にマーケットに行って逆立ちをしながらクネクネ踊っていたら、隣にいたコブラよりも稼いだ」と笑いながら述懐した武井。結果、その芸で2万円ほど稼ぎ、事なきを得たという。
久々の再会にメーラ監督も「武井さんにまたお会いできてうれしい。武井さんはレースのシーンをリアルに見せるために、出演者全員を引っ張ってくれて感謝しています」と感激の表情。「日本に来るということで、何か特別な贈り物を」というメーラ監督の好意により、ミルカの直筆サインが入った本作の初版ポスターをプレゼントされた武井は、「この作品に出演した後にテレビで出るようになりました。そこからほとんど休みもなく今につながっています。僕の今の道につながる最初の作品なので、チャンスをいただいた監督には感謝しています。(ポスターを)大事にします」と晴れ晴れとした顔を見せた。(取材・文:壬生智裕)
映画『ミルカ』は1月30日よりTOHOシネマズシャンテほかにて全国公開