インドネシア大量虐殺を再現した『アクト・オブ・キリング』を被害者側から映し出した映画、日本公開決定
1960年代にインドネシアでひそかに行われた大虐殺の加害者たちにカメラを向け、彼らが行った虐殺を再現させるという前代未聞の手法を取ったドキュメンタリー映画『アクト・オブ・キリング』と対を成す作品として、ジョシュア・オッペンハイマー監督が今度は被害者たちを題材に製作した『ルック・オブ・サイレンス』が初夏に日本公開されることがわかった。
『ルック・オブ・サイレンス』が追ったのは、虐殺で兄が殺害された後、その弟として誕生した青年アディの姿。2003年にオッペンハイマー監督が撮影した加害者たちのインタビュー映像を観て彼らが兄を殺した様子を誇らしげに語るさまに強い衝撃を受け、「殺された兄や、今もおびえながら暮らす母のため、彼らに罪を認めさせたい」と願い続けたアディが、2012年にオッペンハイマー監督と再会し、彼と共に加害者の元を訪れるさまをつづる。
ティーザーポスタービジュアルは、眼鏡技師として働くアディが用意した視力検査用の眼鏡をかけた加害者の顔をフィーチャーしたもの。恐怖によって沈黙を強いられながら生きてきたアディは、「無料の視力検査」を行うことで加害者の警戒をかわしながら、核心をついた質問を投げ掛けていったからだ。第71回ベネチア国際映画祭で審査員大賞に輝いた本作は、被害者の視点から“責任なき悪”のメカニズムを浮かび上がらせる衝撃作となっている。(編集部・市川遥)
映画『ルック・オブ・サイレンス』は初夏、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開