菅元首相、原発事故最悪のシナリオを免れた背景に「神のご加護あった」
原子力発電所事故で全町避難となった福島県富岡町に残り、取り残された動物たちと暮らす松村直登さんを追ったドキュメンタリー映画『ナオトひとりっきり Alone in Fukushima』のトークイベントが24日、都内で行われ、松村さんと中村真夕監督、事故当時内閣総理大臣だった菅直人元首相が出席した。菅元首相は「今回の福島原発事故で、本当に日本の半分が、あるいは全部が壊滅してもおかしくない寸前だった。日本のためにも世界のためにも原発はなくすべきだ」と改めて原発の反対を訴えた。
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登壇すると、東京電力が先日「2号機のベント(圧力が上がった格納器が破裂するのを防ぐための措置)は失敗に終わっていた可能性が高い」と発表したことに触れた菅元首相。「ベントに失敗したということは、格納器が壊れるということです。実際に壊れたんです。ただ、大破しなくて穴が開いた」と述べ、「格納器の中は73シーベルトなんてことがわたしの国会質疑の際も言われました。近づけば人間が5分間くらいで確実に命を落とす状態です。大破していたら誰も近づけない。福島第一、第二合わせて10の原発と11の使用済み燃料プールがまさにコントロール不能になりますから、東京を含む少なくとも250キロ圏から人々が逃げ出さないといけなかった。東日本は壊滅でした」と告白。
結果的に最悪のシナリオと言われた「250キロ圏内の避難」が回避されたのは、東電や自衛隊、関係者らの尽力があったと前置きしつつ、施設内で起こったたくさんの奇跡的な偶然や幸運にも助けられたといい、「神のご加護がやっぱりあったんです」としみじみ。3.11を経験するまではチェルノブイリのような事故は絶対に日本では起きないだろうと思っていたといい、「今回の原発事故で考え方を180度変えたんです。原発はなくすべきだ」と改めて原発反対の立場を訴えていた。(取材・文:名鹿祥史)
映画『ナオトひとりっきり Alone in Fukushima』は上映中