パルムドールは仏映画『Dheepan』にすぐ決まった!コーエン兄弟ら審査員会見
第68回カンヌ国際映画祭
現地時間24日、第68回カンヌ国際映画祭授賞式後に審査員会見と受賞者会見が行われ、審査員長のジョエル&イーサン・コーエン兄弟をはじめジェイク・ギレンホール、シエナ・ミラー、グザヴィエ・ドランら審査員たちが今年のコンペティション部門の審査ついて説明したほか、各受賞者が心境を語った。
19作品が出品された今年のコンペ部門で最高賞にあたるパルムドールを受賞したのは、映画『君と歩く世界』などで知られるジャック・オーディアール監督の『ディーパン(原題) / Dheepan』(フランス)。ヨーロッパの移民問題を背景に、有利に亡命しようと家族のふりをする男、女、そして少女が本当の家族になっていくさまを描いたドラマだ。
イーサンは「パルムドールはすぐに決まった。僕たちはみな熱狂し、『ディーパン(原題)』はとても美しい映画だと思った。ほかにもそういう映画は審査員それぞれにあったけど、同作に関してはみなが高いレベルで熱狂して、興奮した」と満場一致の決定だったとコメント。ジェイクは「僕たちは数時間で3人の他人が外国へ渡り、互いを愛することを知るまでを観ることになる。こんな映画を今まで観たことがない」と絶賛した。
次点のグランプリに輝いたのは、ユダヤ人の強制収容所を舞台に極限の状況下にありながら、死んだ息子をきちんと埋葬することだけを望んで奔走する父の姿を追った『サン・オブ・サウル(英題) / Son of Saul』(ハンガリー)。メガホンを取ったのは、これが長編デビュー作となるラースロー・ネメス監督だ。シエナは「この題材をここまで効果的に描いている作品を観たことがない。初監督で偉業だと思う」、グザヴィエは「上映後に長い沈黙があった。記憶に残る、時間と共に自分の中でどんどん大きくなるような映画だ」と評していた。
また、女優賞を『モン・ロワ(原題) / Mon Roi』(フランス)のエマニュエル・ベルコと『キャロル(原題) / Carol』(イギリス、アメリカ)のルーニー・マーラの二人に分け、ルーニーとレズビアンカップルを演じたケイト・ブランシェットの受賞がなかったことについて聞かれると、1作品に賞は一つなど細かくルールがあり、受賞者を決める過程は「ある意味チェスのゲームのようだった」と明かしたジョエル。すでにニューヨークに戻ったルーニーの代わりに賞を受け取ったトッド・ヘインズ監督は、ルーニーをたたえると共に「ケイトが本作の演技で今後も称賛され続けることに疑いの余地はない」と二人の女性が同作を素晴らしいものにしてくれたと笑顔を見せていた。(編集部・市川遥)