上映時間3時間超え!世界遺産を舞台にしたカンヌ映画祭パルムドール受賞作とは?
第67回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した映画『雪の轍』が今週末に公開される。本作は、上映時間3時間16分という長尺で世界遺産カッパドキアが舞台。トルコ人監督ヌリ・ビルゲ・ジェイランの日本初公開の作品となる。
本作は、元舞台俳優のホテルオーナーが営むホテルで、雪でホテルが閉ざされていくなか、美しい妻、出戻りの妹、友人、家賃を滞納する聖職者一家などさまざまな人々の秘めた胸の内が浮かび上がっていくさまを追ったドラマ。舞台がトルコの観光地で標高1,000~1,200メートルに位置する世界遺産のカッパドキアであることも注目されており、雪に覆われた“妖精の煙突”とも言われる摩訶(まか)不思議な奇岩群、洞窟ホテルの幻想的な風景は圧巻。また、12~3月はマイナス10度を切るというカッパドキアの凍てつく寒さが、登場人物たちの不穏な心情を効果的に盛り上げている。
ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督は、『冬の街』(2003)、『昔々、アナトリアで』(2011)でカンヌ国際映画祭で2度グランプリを受賞、『Three Monkeys ~愚かなる連鎖~』(2008)で監督賞を受賞するなどカンヌの常連でありながら、日本で劇場公開されるのはこれが初。長尺のミニシアター系作品としては今年、ロシア人監督アレクセイ・ゲルマンによる2時間57分の怪作『神々のたそがれ』が話題になったが、「パルムドール受賞」の冠で期待値が高まる『雪の轍』の長尺はどのぐらい受け入れられるのか、興行収入成績が気になるところだ。(編集部・石井百合子)
映画『雪の轍』は、6月27日より角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開