『ハリポタ』のせいで…スネイプ先生アラン・リックマンが監督第2作を語る
映画『ハリー・ポッター』シリーズのスネイプ先生でおなじみのアラン・リックマンが、自身の監督作第2弾『ヴェルサイユの宮廷庭師』について語った。
本作は、17世紀フランスで国王ルイ14世がヴェルサイユ宮殿の増改築を計画した際に、国王の庭園建築家アンドレ・ル・ノートル(マティアス・スーナールツ)と共に「舞踏の間」の建設を任された女性庭師サビーヌ(ケイト・ウインスレット)が、宮殿での困難を乗り越えながら、いつしかル・ノートルに惹(ひ)かれていく様が描かれる。
女性庭師を描くことになった経緯は「庭師を題材にしたドラマを描くなんて、たいていは『馬鹿じゃないのか?』と思うかもね。だが今作はロマンスを中心に描いている。ジェレミー・ブロックとアリソン・ディーガンが執筆した(アランも共同執筆しているが、ほとんどは彼らが書いた)脚本は、女性の視点でつづられ、当時の男性社会の中で意志の強い女性がいかに独立していくかが描かれている。確かに時代物の作品ではあるが、実際には現代的な要素もあり、観客も時代物であることを忘れて、今日の女性と比較して鑑賞できると思う」と説明した。
ケイトの出演経緯について「彼女は役柄へのアプローチが一生懸命で、さらに日頃の労働観が素晴らしいんだ。彼女はセットでは、ユーモアを持ってスタッフを笑わせたり、他の俳優の話を聞いたり、率先して会話をしている。彼女が19歳のときに共演した映画『いつか晴れた日に』でもそうだった。もっともケイトが演じたサビーヌは他のキャラと違って実在の人物ではないが、そんな役を真実味のあるものにするために素晴らしい演技を披露した」と称賛した。
前回メガホンを取った1997年からこれほど時間がかかったのは「『ハリー・ポッター』のせいだね(笑)。2000年にあの映画の撮影を開始し、そのときすでにJ・K・ローリングはシリーズ3作までを執筆していて、その後の作品に参加するかわからなかったものの、結局出演した。それからほぼ10年間その撮影に費やしたため、映画製作の準備期間、撮影、編集するまで通常は1年~1年半はかかるが、そのような長い製作期間を持つことができなかった」と語った。長い間切望していた監督作のようだ。
映画は、壮大な宮殿や美しい庭園の中で繰り広げられる、ロマンスの展開に引き込まれる作品に仕上がっている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)