松坂桃李、人生最大の決断は大学を辞めたこと
俳優の松坂桃李が15日、都内で行われた映画『日本のいちばん長い日』完成披露試写会舞台あいさつに、役所広司、本木雅弘、原田眞人監督と共に出席した。本作にちなみ、人生最大の決断を質問された松坂は、「大学を辞めたとき」と回答。大学在学中に役者業を始め、2年間の休学期間中に続けるか辞めるか決断しなければならなかったと振り返った松坂は、「親は怒っていましたけど、この仕事でやっていこうとスパっと決めました。後悔はないです」と断言。その男らしい姿に、女性ファンから黄色い声が上がった。
戦後70年の節目に、半藤一利の傑作ノンフィクションを映画化した本作は、太平洋戦争終結のため、命懸けで戦った男たちの壮絶なドラマを描いた歴史超大作。日本が降伏へと至るまでに二転三転した閣僚会議の様子、8月15日正午に終戦を知らせる昭和天皇の玉音放送が国民に届くまでの緊迫した舞台裏が明かされる。
キャリア初の戦争映画で丸刈りもいとわず、本土決戦を主張してクーデターを起こす畑中健二少佐を演じた松坂は、本作への出演に感激しきり。オープニングでスクリーンにキャストの名前が出てくる演出について、「海外の映画みたいで、そうそうたる先輩方と一緒に自分の名前も浮かび上がってきたのがうれしかった」と満足げ。
しかし、初の原田組には戸惑いもあり「初日から(怒鳴り)声が飛び交っていて、それが終わりまで続いた。でも、その緊張感が居心地よかった」と述懐。役所から「下手だったから怒られたんじゃないの?」と冗談が飛ぶも、原田監督は「桃李には怒鳴ってない」とフォロー。ところが、松坂が「僕に言われているんじゃないかと思いながらやっていました」と謙虚な姿勢を見せると、原田監督が「その通り」と返し、会場を沸かせた。
この日は、原田監督の思いが爆発。「能力のない政府が総合的に判断して、民意を無視していくという事態がこれから続きそう」と前置きすると、「民意は何か、国民を救うこととは何か、70年前の根っこに翻って考えて、日本はどうしたらいいのか、一人一人が自問して行動に移してもらいたい」と熱弁。また、本作は富山県、山梨県、徳島県、高知県では上映されないそうで、「腹が立つ。抗議の電話を掛けてください。民意を表すという意味で、各地で(本作を)盛り上げてほしい」と訴え掛けた。(取材・文:鶴見菜美子)
映画『日本のいちばん長い日』は8月8日より全国公開