庵野秀明、「日本のアニメは5年ほどで崩壊する」というニュースは「誤解」と反論
アニメ監督の庵野秀明が18日、新宿バルト9で行われた「日本アニメ(ーター)見本市」先行上映トークイベントに来場、海外媒体で語ったインタビューから広まった「日本のアニメは5年ほどで崩壊する」というコメントについて「誤解だ」と反論した。
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「新世紀エヴァンゲリオン」のスタジオカラーとドワンゴが展開するウェブ配信シリーズ「日本アニメ(ーター)見本市」のサードシーズンラインアップ発表会を兼ねて行われた本トークショー。イベント中、司会者から「日本のアニメは5年ほどで崩壊する」発言の真意について問われた庵野は、「そういう(崩壊するという)つもりで言ったわけではない」とその発言を否定。「もっと難しく言ったんですが、(コメントの全体を要約して)まとめてそういうことにされてしまった。そういうつもりじゃなかったんだけど。トピックスって怖いですね」と苦笑い。さらに「(あのコメントも)ずいぶん昔に言ったことなんで忘れましたが」と前置きしつつも、「確かに日本のアニメ業界は厳しい状況にある。ただ展望がないわけではない。今はなんとかなるんじゃないかということと、なんともならないんじゃないかということがせめぎ合っている感じですね」と付け加えた。
それを受けたドワンゴの川上量生会長は「日本のアニメって社会的影響力のわりに産業力が小さい。制作環境の犠牲のもとにアニメの規模が大きくなったとしても、その現場を維持するのはなかなか難しい」と企画本数に対してのマンパワーの少なさに対して言及。それを受けた庵野も「何十年も(この形態でアニメ業界が)もってしまっていることが問題」と続ける。
さらに「アニメは安いと言われていますが、それでもけっこうお金がかかるんです。もちろんスタジオジブリほどではないですけど、それでも億単位でかかる。その集めたお金をどう回収するかが問題」と切り出した庵野は「『日本アニメ(ーター)見本市』は回収を考えずに、赤字前提でやっている。だからいろいろなことができる」と解説。
さらにファンからの「(アニメ業界のために)ファンには何ができる?」という声にも「アニメに愛情を持ってもらいたい。こういうクオリティーの高い作品も大画面で観てほしい。このイベントもティ・ジョイさんに無理やり頼んでやってもらった。自分で言うのもなんですが、最後は愛だと思うんです」と続けた。そんな中、雨宮哲による「アニメを愛する人は業界に来た方がいい」という意見に、わが意を得た、といった様子を見せた庵野は「雨宮、いいこと言うね! 久しぶりに感動した!」と笑顔を見せた。(取材・文:壬生智裕)
■日本アニメ(ーター)見本市サードシーズン作品ラインナップ
「Endless night(仮)」山本沙代監督
「カセットガール」小林浩康監督
「片山一良企画:タイトル未定」片山一良監督
「コント ころしや 1989」中澤一登監督
「ザ・ウルトラマン」横山彰利監督
「新世紀いんぱくつ。」櫻木優平監督
「旅のロボから」沖浦啓之監督
「ハンマーヘッド」舞城王太郎×前田真宏監督
「ヒストリー機関」吉浦康裕監督
「ブブとブブリーナ」なかむらたかし監督
「吉崎響×DAOKO企画:タイトル未定」吉崎響監督