坂本龍一が復帰!『母と暮せば』で山田洋次監督と初タッグ!
2014年7月から中咽頭がん治療のため活動を休止していた音楽家の坂本龍一が、映画『母と暮せば』の音楽を担当し、活動を再開することが明らかになった。『男はつらいよ』シリーズの大ファンでもある坂本は、復帰作に本作を選んだ理由として初タッグとなる山田洋次監督と主演の吉永小百合の名前を挙げると、「この二人に何かを頼まれて断れる日本人がいるでしょうか」とコメント。「このような大作が、病気からの復帰後第一弾の仕事なのですから、ぼくは本当に幸せ者です」と喜びを語った。
【写真】美しい和装姿の吉永小百合 - 『母と暮せば』製作発表記者会見
吉永と嵐の二宮和也が初共演で親子を演じる本作は、広島を舞台にした戯曲「父と暮せば」などの井上ひさしさんの遺志を受け継いだ山田監督が、舞台を長崎に据えたファンタジー。助産師の伸子(吉永)の前に、3年前原爆で失ったはずの息子・浩二(二宮)が突然現れ、楽しかった思い出やかつて将来を約束した恋人・町子(黒木華)の話をして過ごす日々を活写する。
今回のタッグは、企画段階から「主役は吉永小百合、音楽は坂本龍一、このお二人しか考えられない」と決めていた山田監督が、吉永と共に2014年4月の坂本のコンサートを訪れ、楽屋で企画を説明したことがきっかけ。その熱いラブコールを受けた坂本は、タイトルバックの江戸川を見るだけで涙目になるほど『男はつらいよ』シリーズが好きだったこともあり、オファーを快諾。「内容は井上ひさしさんの『父と暮せば』へのオマージュとして呼応するように、長崎が舞台となっています。核のない世界を望んでいるぼくとしては、これはやるしかありません」と本作のテーマにも共感を示した。
念願のタッグが実現することとなった山田監督は、「彼の口から快い承諾の返事を聞いたときは本当に嬉しかったものです。坂本龍一さんと組んで仕事をするのは長年の夢でした。ぼくの頭の中にはすでに坂本龍一の美しい音楽が鳴り始めています」と映像と音楽の化学反応に期待を寄せる。
ライフワークである原爆詩朗読のピアノ伴奏を坂本が担当するなど、以前から坂本と親交があり、今回二人をつなぐ役割を果たした吉永も、「嬉しくて嬉しくて舞い上がっています」と喜びをあらわに。ベルナルド・ベルトルッチ監督の『ラストエンペラー』(1987)で日本人初のアカデミー賞作曲賞に輝いた坂本がつむぎ出す復帰後第1作とあって、注目を浴びること間違いなしだ。(編集部・吉田唯)
映画『母と暮せば』は12月12日より全国公開