ベールを脱いだ東南アジア映画事情!ショートフィルムで明らかに!
アジア最大級の国際短編映画祭で、東南アジアのショートフィルムが上映されるなど、ベールに包まれた東南アジア映画事情の一端が明らかになった。
アジア最大級の国際短編映画祭ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(以下、SSFF & ASIA)は本年より、国際交流基金アジアセンターと共に、東南アジアのショートフィルム上映と各国の短編映画関係者による国際シンポジウムを実施している。
近年のデジタルビデオカメラや映像制作ソフトの普及により、日本や諸外国と同様に、中国以南、インド以東のアジア諸国から成る東南アジアでも映像制作は盛んになっているという。しかし、東南アジアにおける映画産業の現状は日本であまり知られていない。
そんなベールに包まれた東南アジアの映画事情に迫るべく、初年度となった本年は、カンボジア、インドネシア、ラオス、シンガポール、東ティモール、フィリピンの6か国の作品を上映。6月7日には、原宿・表参道ヒルズ スペース オーにて、各国の短編映画関係者による「東南アジアのショートフィルムの現状と展望」と題されたシンポジウムも開催された。
シンポジウムでは、パネリストたちが短編映画制作の資金繰りの苦労を吐露。NGOから資金を調達するために、人権や医療といったNGOが取り組んでいる課題をテーマにしたり、企業からの依頼を受け、商品をテーマにすることで、短編映画制作が成り立っていることを明かした。
それでも短編映画を作り続ける意義は、長編映画制作のチャンスをつかむための手段であると同時に、メディア規制の影響を受けにくく、社会について発言・表現でき、自国の物語を描くことができることだと参加者たちは熱弁。
そして印象的だったのは、「映画を量産するデジタル時代の現状から質重視へと変えていくこと」や「作り手の教育はもちろん、映画を観る観客の教育」の重要性を説いたインドネシアのヨセプ・アンギ・ノエン監督の言葉だ。これらは東南アジアのみならず、デジタル時代の万国に共通する課題のように思え、東南アジア映画を通して日本が学べることも多い、実り多いシンポジウムとなった。
東南アジア作品の上映、シンポジウムは来年も開催予定。本年のシンポジウムの様子は、SSFF & ASIAの東南アジアプログラム&シンポジウム特設サイトで見ることができる。(編集部・石神恵美子)