篠原涼子、『アンフェア』と共に歩んだ10年「掛け替えのないパートナー」
2006年に連続テレビドラマとしてスタートして以来、先読み不可能なストーリー展開で人気を博した『アンフェア』シリーズが、劇場版第3弾『アンフェア the end』でついに幕を閉じる。バツイチ、子持ち、大酒飲みだが、検挙率ナンバーワンで無駄に美人。男勝りの敏腕刑事・雪平夏見を演じてきた女優・篠原涼子が、万感の思いで10年を振り返った。
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開口一番、「終わってほしくない」と寂しさをにじませる篠原。10年間、演じ続けた雪平に対して、計り知れないほどの思いが去来するようだ。「これだけ長くやってくると、雪平も作品もわたしにとって掛け替えのないパートナー。もう隣にはいないのかと思うと心細くて寂しいです」と吐露。「他の作品とは比べられない唯一無二の存在。この10年、わたし自身も、結婚したり、子供ができたり、人生いろいろなことがありましたが、『アンフェア』と共にたくさんの幸せを頂き、そしてたくさんのことを学ばせていただいた」と述懐する。
それでも、「いつか終わりはやって来る」と自身に言い聞かせるように唇をかみしめる篠原だが、最終章となった本作には心から満足している様子。「雪平への“愛”にあふれた内容になっていたので、納得できる終わり方だなと思いました。何度も裏切られながら、負けずに生きてきた雪平の心の強さ、温かい部分がメッセージとしてきちんと描かれ、しかも大好きな共演者の皆さんの大きな愛に包まれながら終われるなんて、こんな幸せなことはありません」と笑顔を見せる。
阿部サダヲ、加藤雅也、寺島進、そして佐藤浩市と、男くささムンムンの現場も篠原にとっては居心地のいい場所だったようで、「まるでお正月に集まる親戚のような存在」と表現するように、ざっくばらんな雰囲気で笑いが絶えなかったという。子役出身で現在はAKB48のメンバーとして活躍する娘役の向井地美音についても、「最初は7歳くらいだったので、『食べ物、何が好き?』といったお話しかしていなかったのですが、気付いたら今では17歳。AKB48にも入って、かなり冗舌になって、向こうから『お元気でしたか!』と声を掛けられたときは驚きましたね」と目を細める。
また、EXILEのAKIRA、吉田鋼太郎など、最終章を飾るにふさわしい俳優陣が出演している中、事件の重要な鍵を握り、雪平最後の相棒となる男・津島役を務める永山絢斗には特別な思いを寄せる篠原。テレビドラマでは永山の実兄・瑛太が雪平の“相棒”として出演していたが、「(永山は)役者として、お兄さんの瑛太くんとは全く別物。兄弟という感覚は全くなくて“自分”をちゃんと確立しているプロフェッショナル」と絶賛。それでも、最初の相手役が瑛太で、最後が永山という巡り合わせについては「不思議なご縁を感じますね」と感慨深げに語った。
本作は、前作の「ネイルガン連続殺人事件」から4年、元夫・佐藤和夫(香川照之)の死と引き換えに、国家を裏で操る秘密組織の機密データを手に入れた雪平(篠原)がシリーズ最後の事件へと挑む。10年間の篠原=雪平の思いを心に刻みたい。(取材・文:坂田正樹)
映画『アンフェア the end』は9月5日より全国公開