スパイの愛した車たち
コラム
スパイ映画にカーチェイスはつきものだ。相棒とも呼べる人気スパイキャラクターたちの車を振り返ってみた。
アストンマーティンVSジャガーのカーチェイス!『007 スペクター』
■『007』ジェームズ・ボンド×アストンマーティン
50年以上にわたるシリーズでは、フォードやBMWも登場しているが、最多はアストンマーティンだ。シリーズ第3作『007/ゴールドフィンガー』(1964)で、ショーン・コネリーが務めた初代ジェームズ・ボンドの車として初登場を果たしたアストンマーティン・DB5。さまざまな秘密兵器が搭載されたその車は多くの観客を魅了し、以降ボンドの乗る車は、ボンドカーの愛称で呼ばれシリーズの新作が公開されるたびに、注目されることになる。
6代目ボンドにダニエル・クレイグを迎えたシリーズ第21弾『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)では、アストンマーティン・DBSがスタントシーンで、世界記録となる連続7回の横転を披露。また、初期作品へのオマージュも込めてDB5が登場することも多くなり、ボンドカーといえばアストンマーティンと言い切っても良いほどだ。日本公開を12月4日に控えた新作『007 スペクター』では、同作のために製造されたという、世界にたった8台しかないアストンマーティン・DB10が登場する。
■『ミッション:インポッシブル』イーサン・ハント×BMW
トム・クルーズがすご腕スパイ、イーサン・ハントを演じる人気アクションシリーズで活躍するのはBMWの車たち。シリーズ第4弾でお披露目された近未来的デザインのハイブリッドスポーツカーBMW・i8がとても印象的であったが、第4弾からBMWがマーケティング・パートナーとなり、車の提供やメンテナンスを行っているのだ。
また、日本でも公開されたばかりの最新作『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』では、新型「7シリーズ」「M3」やモーターバイク「S1000RR」がモロッコを舞台に激しいカーチェイスを繰り広げる。そして劇中のみならず、ウィーンで行われたワールドプレミアではこの7シリーズなどが檀上に堂々と飾られ、出演者たちに引けを取らぬ存在感を放っていた。
■『ボーン・アイデンティティー』ジェイソン・ボーン×クラシック・ミニ
記憶を失った男ジェイソン・ボーンを主役としたスパイ映画シリーズの第1弾で、マット・デイモン演じるボーンが繰り広げる逃亡劇で運転する車が、ローバーミニの名でも知られるクラシック・ミニだ。
スパイが真っ赤なミニでカーチェイスを繰り広げるというだけでも異色だが、偶然出くわしたヒロイン、マリー(フランカ・ポテンテ)が運転していた車というだけあって、手入れが全く行き届いていないというところもポイント。そんなクラシック・ミニがパリの狭い路地を駆け抜け、階段までも飛び降りるカーチェイスシーンは、一度見たら脳裏に焼き付いてしまうぐらい個性的だ。(編集部・石神恵美子)