青年をとりこにする美し過ぎる死体…106歳で死去した巨匠の幻の作品が12月公開
現役最高齢監督として知られながら、今年4月に106歳で亡くなったポルトガルの名匠マノエル・ド・オリヴェイラの未公開作『アンジェリカの微笑み』が12月より公開される。同作は、オリヴェイラ監督が101歳のときに発表した作品で、若くして亡くなった絶世の美女に恋する青年の物語。
物語の舞台は、ポルトガル・河流域の小さな町。ある晩、若くして亡くなった娘アンジェリカの写真撮影を依頼され、富豪の邸宅を訪れた青年イザク。白い死に装束に身を包み、花束を抱えて横たわる娘にカメラを向けるとファインダー越しに、彼女のまぶたが開きほほ笑んでいるのが見える。その瞬間、イザクは恋に落ち、昼夜彼女に思いをはせるようになり……。
死人に恋した青年の思いは、どこへ向かうのか……? 幻想的なタッチで描かれる本作の脚本をオリヴェイラ監督が執筆したのは、何と1952年。約58年後に映画化が実現し、第63回カンヌ国際映画祭ある視点部門のオープニングとして日の目を見ることとなった。ポスタービジュアルには、ソファーに横たわるアンジェリカの美しい遺体が写し出されており、まるで生きているかのような「ほほ笑み」が、観る者の好奇心をかき立てる。(編集部・石井百合子)
映画『アンジェリカの微笑み』は12月Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開