劇場版『パトレイバー』なぜディレクターズカット版?押井守監督が激白!
映画『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 ディレクターズカット』がまもなく公開される押井守監督が、なぜ、このバージョンが公開されることになったのか、その理由を語った。
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テログループが擁する武装ヘリ「グレイゴースト」と「特車二課第二小隊」との戦いを描いた本作。今年5月1日に公開されたバージョンの上映時間は94分だったが、今回のディレクターズカット版は119分。実に27分もシーンが追加されている。「正直言うと、僕もどうしてこうなったのかわからない」とぶちまけた押井監督は、「最初は2時間以内で収めてね、という話だったのに、初号を終えたあたりから『90分になりませんかね? 今のお客さんは3分以上何も起こらない映画はダメなんです』という意見が(周りから)出てきて。そんなことはないだろうと思いましたけど」とその経緯を説明。
その結果、公開版はプロデューサーが編集を担当することになったというが、押井監督は、「どうせろくでもない編集に決まっているから今でも観ていない」とキッパリ。「そもそもディレクターズカット版ではなく、現場の人間は僕も含めて全長版とかオリジナル版と呼んでいるから」と語るなど、全くの別物と考えているようだ。
さらに「今まで自分で作った映画に他人のはさみが入った経験なんて1回もなかった」と続けた押井監督だったが、「でも今まで30年以上やってきて、1回くらいそういう経験があってもいいかなと思い直した。海外の監督もそういうことはあるし、どういうものなんだろうという好奇心もあったから」という。その代わり、「全長版はDVDだけで発表するのではなく、きちんとスクリーンで上映すること。そうすれば騒ぎは起こさない」という条件を提示したという。
「そこはきっちりと約束を守ってくれたので、ギリギリの信頼関係は保っている」と語るものの、「ハッキリいって朝、目が覚めるたびにムカムカしていた。もしかしたら公開が終わっても、数年は根に持っているかもしれない」と笑う押井監督。「でも、結局はどちらがいいかはお客さんが決めること。後になって回顧上映などが行われた際に、どちらを上映するかといえば全長版の方だと思う。もし上映しないと言われたら怒るけどね」と自信を見せていた。(取材・文:壬生智裕)
映画『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 ディレクターズカット』は10月10日より全国公開