ロバート・レッドフォードが報道番組降板の特派員を演じた新作のテーマは「忠誠」
名優ロバート・レッドフォードが、新作『トゥルース(原題) / Truth』について語った。
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本作は、CBSの報道番組「60 Minutes」の特派員ダン・ラザー(レッドフォード)が2004年に当時の大統領ジョージ・W・ブッシュ氏の軍歴詐称をリポートしたが、後に詐称の証拠とされた文書が偽造されたものと判明し、番組で謝罪した過程を描いたもの。監督は映画『ゾディアック』の脚本家ジェームズ・ヴァンダービルトが務め、「60 Minutes」の製作者メアリー・メイプスの自叙伝を映画化した。
当時、全米で話題だったこのニュースについて「当時は映画撮影していたが、当然、このニュースは認知していた。(ろくな事実確認がされず、リポートするまで)ダンにはあまり時間がなかったことは明白で、その後、軍歴詐称の証拠とされた文書が偽造されたものと判明すると、すぐにニュースに終止符が打たれたことを覚えている。その時は、個人的に何かが変だと感じていた。今作を製作するまで、明確な事実を知らなかった」と語った。
ダン・ラザーを演じるうえで「僕の俳優としての仕事はダンの本質を押さえることだった。メイキャップなどで下手に彼の顔に似せて、作品を台無しにすることだけは避けたかった。そのため、彼の話し方、身振りや動作、服装などのスタイルを取り入れた。僕も夕方のニュースの司会者ダンを視聴者として観ていたが、実際にダンに初めて会ったのは、70年代の環境問題で彼がアメリカ西部を訪れた時だ」と振り返った。
レッドフォードは、今作は忠誠を描いたと語る。「ジェームズの脚本は、多くの人が聞くことのできなかったこのニュースの真相を掘り下げていたため、すぐに惹(ひ)かれた。出演決定後に僕はダンに電話して『君を演じることになった。僕に何か伝えたいことがあるか』と聞くと、『ボブ(ロバート)、全ては忠誠だ』と答えてくれて、その言葉が今作のテーマとなった。ダンがプロデューサーのメアリーに忠誠心を持っていたように、彼女もまたダンに誠実で、さらに二人ともボス(会社)に忠誠心を持っていた。だが最終的に、二人ともボス(会社)からは切り離されたわけだ」と明かした。
映画は、証拠文書が偽造された報道により、ジョージ・W・ブッシュ氏の軍歴詐称問題の真相が薮の中となる過程が描かれ、報道の真実に一石を投じた作品。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)