今度はヤクザの事務所に潜入!戸塚ヨットスクールなどを手がけた東海テレビドキュメンタリー次の一手!
大阪の指定暴力団の内部にカメラが潜入したドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』のトークイベントが15日、早稲田大学内で行われ、安田好弘弁護士、宮崎学、阿武野勝彦プロデューサー、土方宏史監督が「ヤクザと人権」について語り合った。
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東海テレビドキュメンタリー劇場第8弾にして、『ホームレス理事長 ~退学球児再生計画~』の土方監督の最新作となる本作は、暴力団対策法、暴力団排除条例の施行後に生きる現代のヤクザがモチーフ。組長が「ヤクザとその家族に対する人権侵害が起きている」と語るなど、従来とは違った状況が映し出される。
「取材対象に制約はない」と語る阿武野だが、「次は暴力団についてやりたい」と語る土方監督に対しては「とんでもないことを言うなと思った。僕は完全に腰が引けてしまい、やりたくないと思いながらも、とりあえず調べてみたらと言ったんですけどね」と冗談交じりに述懐。それに対して「東海テレビは取材対象に規制はないし、阿武野だったらこれはやりたくなると思った」と確信を持って語る土方監督の言葉に、必死に首を振っていた阿武野だったが、「結局、ミイラ取りがミイラになってしまいました」と苦笑いすることしきり。
現在は、東海テレビ報道部で報道記者をしているという土方監督だが、愛知県警の警察官から「今のヤクザは落ちぶれてかわいそうだよ」という話を聞き、意外に思ったことが本作企画のきっかけだったという。「ヤクザは恐ろしい存在だと思っていたら、実は今は悲惨な状態になってると。すごく強いと思ってた人が、実は弱い感じになっているというのは面白いと思った」とその感触を語る。
本作で密着した組には、部屋住みと呼ばれる雑務を担当する20代前半の若者が登場する。「彼は過去にいじめられた経験があって。高校時代はずっと家にいたそうです。いわゆるヤクザの典型的なタイプとは違うが、今の時代のドロップアウトした子。そういう子が事務所にいたのがビックリしました。彼は上の人からしかられたりして、大変な暮らしをしていましたが、家で誰とも接しないでぬくぬくとした暮らしをしていた時よりも、人とのぶつかり合いが現実的だというんです。これには考えさせられましたね」と振り返った土方監督。その後もヤクザの現状、警察が抱える矛盾、家宅捜索、メディアのあり方など、興味深い話の数々に、会場は熱心に耳を傾けていた。(取材・文:壬生智裕)
映画『ヤクザと憲法』は2016年1月2日よりポレポレ東中野にて公開