映画『テラフォーマーズ』は火星版『クローズ』に?三池崇史監督の思いは
火星へ送り込まれた15人の日本人が、史上最悪の敵 “テラフォーマー”と戦うSFアクション『テラフォーマーズ』で、一見無謀(?)とも言える人気コミックの実写映画化に挑む三池崇史監督が、撮影現場で意気込みを語った。
そもそも原作は、主演の伊藤英明が「ハリウッドで撮影したらバジェット300億円くらいの作品になりそう」と評するほど壮大なストーリーが展開。若手俳優から情報を得て原作を読んでいたという三池監督も、「実写化出来るのは日本で一人しかいない」とオファーをされたというものの、当初は「マジか、マジでか!?」とその企画に驚いたという。
「日本では作っていないジャンルで、普通に考えたらハリウッド映画のスケールダウンしたものになってしまう」と危惧するも、そこは数々の不可能に挑戦してきた三池監督。「日本人にしかできないバトルもの、気持ちを含めたバトルとは? ……と考えていけば、いままでにない映画が生まれる可能性がある」と足かせを武器に変えようと手ぐすねを引いているようだ。
一方、『るろうに剣心』シリーズを手掛けた小岩井宏悦プロデューサーは「まずはオールスターキャストにするのが使命」とキャスティングに挑み、撮影現場で開かれた会見では15人の隊員がズラリ。主人公・小町小吉役の伊藤以下、監督が「初々しさを保ちながらどこまでも腹がすわっている」と称するヒロインの武井咲、三池組初参加となる山下智久、「少ない労働力で最大の効果を上げるエコな役者」と監督も信頼する山田孝之がまたもひねりのきいた役を務めるほか、ケイン・コスギ、菊地凛子、加藤雅也、小池栄子、篠田麻里子、滝藤賢一、太田莉菜らが名を連ねる。
さらに、吉兼丈二役の渋川清彦が「(同じ三池監督の)映画『極道大戦争』で演じたヤクザっぽい感じでやらせてもらおうと思っています」と原作を超えたヤバいキャラの誕生を匂わせるほか、テロリスト、売春婦の元締めなど、それぞれに事情を抱えてミッションに参加する隊員たちのドラマも、「劇団☆新感線」の中島かずきによる脚本で、奥行きを持ったものになりそうだ。
果たして本作はどんな映画に? 小岩井プロデューサーが「普通のSFとは違って生々しいというか汗臭い“火星版『クローズZERO』”のような映画に」と語ると、「どんな映画になるのか……僕が教えてもらいたいです」とトボける三池監督。エポックメイキングな映画の誕生となるか、注目したい。(取材・文:浅見祥子)
映画『テラフォーマーズ』は2016年4月29日より全国公開