眠り病にかかる兵士たち…『ブンミおじさんの森』監督新作、2016年日本公開決定!
映画『ブンミおじさんの森』でカンヌ国際映画祭のパルムドール(最高賞)に輝いたことのあるタイのアピチャッポン・ウィーラセタクン監督による最新作『Cemetery of Splendour(英題)』が、『光りの墓』という邦題で2016年3月よりシアター・イメージフォーラムを皮切りに全国順次公開されることが決定した。
新作『光りの墓』の舞台は、タイ東北部の町コーンケン。そこには、原因不明の“眠り病”にかかった兵士たちが移送されてくる仮設病院があり、色と光による療法が行われている。ある日、その診療所を訪れたジェンは、前世や過去の記憶を見る力を持った若い女性と知り合う。そして、かつてその病院の地下に王の墓があったことを知り、古代の人々と兵士たちの眠り病に関係があることに気付く……というのが本作のストーリーだ。
これまでに、日本で劇場公開されたアピチャッポン監督作は『ブンミおじさんの森』だけだが、タイ東北部、病院、森、前世、記憶といった監督の過去作に通じるモチーフが本作にもちりばめられている。映像作家としての進化を感じさせる完成度に、今年のカンヌ映画祭ではコンペ部門への参加が期待されていたものの、コンペではなく「ある視点部門」に出品された。それに対して多くの映画ジャーナリストが批判を繰り広げたことでも話題を呼んでいた。
また、本作の公開に先駆けて、2016年1月には幻の傑作としてファンの間で人気が高い『世紀の光』(2006年作)が日本初劇場公開される。それに併せて、アピチャッポン監督の旧作長編とアートプログラムをあわせた特集上映が開催。映画だけにとどまらずアートの分野でも、福岡、青森、横浜での展覧会やワークショップ、9月から開催される「さいたまトリエンナーレ2016」への参加、その後には東京都写真美術館での個展も控えており、2016年はアピチャッポン監督の才能を堪能できる一年になりそうだ。(編集部・石神恵美子)
映画『光りの墓』は2016年3月よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開