メキシコ麻薬戦争の実態!徐々に不鮮明になる善悪の境界線
麻薬組織同士の縄張り争いや、政府と麻薬カルテルによる武力紛争をさす“メキシコ麻薬戦争”の最前線に迫ったドキュメンタリー映画『カルテル・ランド』が5月に日本で公開される。
『ゼロ・ダーク・サーティ』などのキャスリン・ビグローが製作総指揮を務めた本作。メキシコの小さな町の内科医、ドクター・ホセ・ミレレスは麻薬カルテルに抵抗するために市民たちと立ち上がる。一方、アメリカ・アリゾナ砂漠のオルター・バレーでは、退役軍人のティム・フォーリーが、メキシコの麻薬が国境を越えるのを阻止するために“アリゾナ国境偵察隊”を結成していた。どちらの組織も徐々に勢力を強めるが、組織の拡大に伴い麻薬組織との癒着や賄賂が横行。正義の元に掲げた旗は徐々に汚れ、善と悪のボーダーラインが不鮮明になっていく……。
本作の主な舞台は、先日も麻薬組織の撤退を掲げた女性市長が就任翌日に殺害されるなど、暴力が支配し無法地帯と化しているメキシコ。危険な場所にカメラとともに乗り込んだ映画監督マシュー・ハイネマンが、日本から離れていても確かに存在するメキシコ麻薬戦争の実態に迫る。
コロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルの光と影に迫る『エスコバル/楽園の掟』(3月12日公開)、アメリカとメキシコの国境で巻き起こる麻薬戦争の闇を描く『ボーダーライン』(4月9日公開)など、麻薬ビジネスを扱った劇映画が公開を控えるが、第88回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた本作も注目すべき映画の一つに数えられている。(編集部・海江田宗)
映画『カルテル・ランド』は5月よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開