岡田准一、岩を背負ってエヴェレストを登っていた!
夢枕獏のベストセラー小説を映画化した『エヴェレスト 神々の山嶺』で、山岳カメラマンを演じた岡田准一が、エヴェレストに挑んだ撮影の秘話を語った。
「オファーされたとき、エヴェレストで撮影できるというのが何よりうれしかったです」という岡田。以前からプライベートでも登山を楽しみ、山には馴染みがあったものの、「富士山より高い山は初めて」だったこともあって撮影のための出発前には特別なトレーニングを行ったという。「低酸素室で6,000メートルぐらいの高さの酸素濃度を何回か経験していきました。ただ、低酸素トレーニングで3時間だけその空気の中にいるのと、現地で24時間いるのとはやっぱり違いますね(笑)。でも、それを経験していたから高山病にならずに済んだ」と語る。
実際のネパール、エヴェレストでの撮影では、風呂にも入れないという山男そのものの生活を体験。「どんどん汚れていくんですよ。でもそれも役づくりだと思うとうれしくて。だからそんなに苦ではなかったです。空気は薄い。お風呂には入れない。1日6、7時間歩く。その繰り返し。映画を撮るには限界の高さですよね」。
普段から体を鍛えていることで知られる岡田だが、今回の撮影では逆に体脂肪率を上げた。「5,000メートルぐらいの高さになると激しい運動は逆に筋肉が落ちていくんです。だから今回は体脂肪率を上げて、現地でも軽めの運動だけにしていました」という。山を歩くシーンでは普段からの鍛えていたことが裏目に出たこともあった。「『岡田くんがザックを背負っているのを見ていると20キロあっても軽そうに見える』って言われて、岩を詰められたんですよ。『岩入れますけど、いいですか?』って。5,200メートルのところで大きな岩をザックに入れられて、岩を運んでいるんですよ、僕(笑)」と意外な事実を明かした。
「山は魅力的ですよ」と笑顔を見せる岡田は、実はプライベートでも山岳部を作り、登山を楽しんでいるほど。「山は気持ちいいんですよ。辛いときも楽しんで、ユーモアで空気を変えたり、そういうところは仕事でも役に立っています」と山を心から楽しんでいる岡田にとって本作での経験が新たな目標を作ることに。「5,000メートルの景色を見たらやっぱり6,000メートルの景色が見たくなりますよね(笑)。あの場所で撮影できたことがうれしかった。その場に立って演技をするというのは、僕にとってとても大きな経験でしたね」と満足気に語った。(取材・文:永野寿彦)
映画『エヴェレスト 神々の山嶺』は3月12日より全国公開