サンダンス映画祭で観客の称賛を浴びたホラー映画『The Witch』とは?
昨年のサンダンス映画祭で観客の称賛を浴びたホラー映画『ザ・ウィッチ(原題) / The Witch』について、ロバート・エガース監督と主演ラルフ・アイネソンが2月16日(現地時間)にニューヨークのAOLで開催されたイベントで語った。
作品の舞台は、1630年のニューイングランド。清教徒のウィリアム(ラルフ)とキャスリーン(ケイト・ディッキー)は、子供たちを連れて人里離れた森林近くに移り住み、荒野を耕しながら暮らしていたが、ある日長女トマシン(アニヤ・テイラー=ジョイ)が乳児をあやしていたときに、乳児が突如蒸発する。家族は魔女の仕業と疑い、その真相を突き止めていく。
今作にはさまざまな要素が含まれ、独自のホラーを確立している。「これまで奇妙なストーリーを題材にした脚本を書いてきたが、誰もそのような特殊なジャンルの映画を製作する気がなかった。それでも僕はホラーのジャンルにこだわって、自分の価値に妥協せず、ようやく人に見せられるような短編を手掛けると、それを長編化したいという人物が現れた。僕自身も今作の舞台となるニューイングランドの出身で、ずっと頭の中にこの土地の歴史が植え付けられていた。そんなニューイングランドの祖先から受け継いだ概念を基に描いたことで、このようなホラー作品になった」とロバートは説明した。
ウィリアムについて、ラルフは「彼は誇りを持った人物だ。英国からニューイングランドに移って誇りを持って暮らしていたが、ある日、宗教上の信念の違いから清教徒のプランテーションを離れることになる。それでも、彼は自分の信念を持って生きているため、(魔女によって)乳児が突如蒸発してしまったことも信じられないでいる。なぜなら、自分が一番の清教徒の信者と思っているため、そのようなことが起こるはずないと信じているからだ」と語った。
撮影現場について、ロバートは「もちろん、舞台となるニューイングランドで撮影したかったが、製作資金上カナダのオンタリオ州北部で撮影した。カナダなら加工されていない自然がたくさんあると思ったからだ。だが、僕らが(ロケーション地として)想像した大きさの森林で、なおかつニューイングランドのアメリカツガやストローブマツなどの木々があるような森林にたどり着くには、実際には地図から外れるほどの奥地になった。特にクルーにとっては大変で、携帯やWi-Fiも使用できなかった」と明かした。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)