野村宏伸、長セリフのシーンでジャッキー・ウー監督から台本をもらったのは1時間前!
俳優・映画監督・プロデューサーなどアジア圏を中心に活躍するジャッキー・ウーが手掛けた異色ホラー『邂逅』の初日舞台あいさつが19日にシネリーブル池袋で行われ、野村宏伸の長セリフに込めた思いを明かした。この日は荒井乃梨子、天川真澄らも来場した。
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日系中国人2世の父を持ち、横浜で生まれ育ったウー監督は、香港、韓国、台湾、フィリピンなどアジア諸国の映画に関わるインターナショナルな映画人。ウー監督が日本映画を手掛けるのはこの『邂逅』が初となり、2014年マンハッタン国際映画祭では最優秀監督賞を獲得した。本作は、フィリピンの「比島戦没者の碑」付近に引っ越した日本人家族が体験する衝撃の出来事を描きだしている。
アジアで人気を誇るウー監督が登場すると、会場の女性客からは大歓声。「こんばんは。僕は日本ではあまり活動していませんが、皆さんとお会いできるのを楽しみにしていました」とあいさつすると、悲鳴にも似た歓声に包まれた。続けて登場した野村は「この映画を撮影してからまる2年くらいたちましたが、ようやく公開されるということで感無量です」と付け加えた。
この日同席していた新田博邦プロデューサーによると、野村の3ページにわたる長セリフが本作の見どころだという。そのセリフは本作のテーマを象徴するものだが、その台本を野村に渡したのは撮影の1時間ほど前だったという。ウー監督は「この映画の思いをここに詰めています。このセリフのために映画を作りました。よろしくお願いします」と言いながら野村に台本を渡したといい、「実は台本は最初からあったんです。ただ、野村さんくらいのレベルの役者さんになると、先に台本を渡してしまうと、ある意味、自分のものにしてかみ砕いてしまう。でもあのセリフだけは、ファーストインプレッションで解釈してほしかった。それが僕のメッセージになりますから」とその意図を説明。
その思いに応えた野村は、ワンテイクでその撮影を終えたという。「あれは技術とかそういうものを超えて、気持ち、勢いだけでやりました」と充実した表情の野村。ウー監督は「海外って素晴らしいテイクには拍手が起こるんですよ。そしてこのテイクでは拍手が起きました。海外のスタッフは意味が分からないのに、(頭に)背景と風景が出てきた。本当に良かったと思います」と晴れやかな顔を見せた。(取材・文:壬生智裕)
『邂逅』はシネリーブル池袋にて公開中