加瀬亮&篠原篤、動物愛護センター職員として向き合った殺処分問題
日本だけでなく海外でも活躍する俳優の加瀬亮と、橋口亮輔監督の『恋人たち』で第39回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した俳優の篠原篤が、動物愛護センターを舞台にした「ドラマW この街の命に」(WOWOW)で向き合った動物の殺処分問題について真摯(しんし)に語った。
動物愛護センター内の様子も…「この街の命に」フォトギャラリー
さまざまな理由で捨てられた動物の命を救おうと奮闘する動物愛護センター職員の葛藤を描き出した本作は、涙を誘うような感動的な演出を用いず、殺処分問題に向き合う職員や動物たちをひたむきに見つめた構成が印象的だ。愛護センターで働く行政獣医役を務めた加瀬は、殺処分について「正直自分がこれまであまり考えてこなかった題材」と前置きした上で、「殺処分反対!」と声高に叫ぶような作品でないからこそ、本作をきっかけに多くの人が殺処分問題を考えるようになればと期待を込める。
「この題材を安易な感動ものにするのは簡単だったと思うんです。それを何で避けているのかという隙間が、この脚本のおもしろいところで、まだ結論が出ていないものについてみんなで考えていく。そういう意図がいいなと思ったんです。例えば僕が脚本を読んで泣いているようだったらやらない方がいい。もちろん感動して涙するっていうのは生理的に気持ち良いことなんですけど、でもそういうことだとこの問題をドラマでとりあげる意味がよくわからなくなりそうで」(加瀬)。
加瀬と同じく本作を機に「物事の問題や根っこって何なんだろう」と考えるようになったという篠原は、愛護センターの作業班職員役で出演。動物を飼ったことがない篠原は見学した施設で動物のにおいに驚いたという。「我慢できないことはもちろんないですけど、あのにおいはペットを飼っている人じゃないと(驚くと思います)。殺処分に関する情報を自分で調べたりもしましたが、あのにおいを嗅いだ時に感じるものがありました。単純にいい匂いじゃないですからね」。
さらに、篠原は「施設の見学に行った時に、(檻の)鉄の感じとかがすごく嫌だったんですよ」と最初は独特な雰囲気に抵抗感もあったそう。しかし、「(役として作業に)慣れていかなきゃいけなかったので、仰々しくやらないように」との思いから、役作りのため空き時間に施設を見に行くことで自身の中にある違和感を消し、その場に慣れるようにしたと明かす。そんな加瀬と篠原に加え、戸田恵梨香、田中裕子、渋川清彦ら演じる愛護センターの職員が、厳しい現実と向き合いながら、少しでも動物たちの命を救おうと奮闘する姿を淡々と静かに描き出した本作だからこそ、動物たちの瞳に秘められた“声なき声”がじんわりと余韻を残す。(編集部・吉田唯)
「ドラマW この街の命に」は4月2日夜9時よりWOWOWプライムで放送
「『ドラマW この街の命に』放送記念!俳優 加瀬亮」特集(『それでもボクはやってない』『劇場版 SPEC~天~』『劇場版 SPEC~結(クローズ)~ 漸(ゼン)ノ篇』『劇場版 SPEC~結(クローズ)~ 爻(コウ)ノ篇』)は4月2日にWOWOWで放送